グローバルキャリア塾 連載コラム

シャンハイパスファインダー (第3回)

第3回:アウェイニイキル

ワンジーテクノロジーズ(株)
代表取締役

Andy JK Wang(眞崎英彦)さん

長崎出身。バックパッカーな大学ライフを満喫した後、大学院を中退し、ベンチャーに勤める。一度、転職し、二社目に入社したベンチャー企業がマザーズに上場する。05年に退職し、ワンジーテクノロジーズを設立。嫁、子供3人、ネコ1匹の大家族。

ワンジーテクノロジーズ(株)

(2009年8月15日掲載)

ちょっと前回から間が空いちゃった。さて、今回は前2回と違い、最近の話。セミナーでも話したのだけど、先日、サッカーAFCチャンピオンズリーグの「鹿島アントラーズ」対「上海申花」の試合が上海で行われ、見に行ってきた事について書こうと思う。

アントラーズを応援する側にとっては、海外による完全アウェイの試合という事で、小さい子供が行くには危険そうな雰囲気。しかし!プロの試合を息子に見せてやりたくて(というより自分が見に行きたくて)、同じサッカーチームに所属する他の家族のお父さん、子供らとアントラーズの応援に行ってきた。

試合会場となった上海申花のホームスタジアムである虹口スタジアムは上海市内の北側に位置していて、上海中心部からは首都高速を使って車で10分程度。ただ、この日は夕方という事もあってか、渋滞がひどく、時間が掛かってしまった。早めに出たにも関わらず、到着したのは試合開始30分前。間に合うかどうかで、少しドキドキした。

着いた頃には、スタジアムの周りは上海申花のサポーターでいっぱい。日本人なんて殆ど見当たらない。ここまでとは予想しておらず、「え、まじで?」と思いつつ、肩身の狭い思いをしながら急いでスタジアムに入った。

買った指定席は一般席だったようで、周りは上海申花のファンで固められていた。周りの視線が痛い。完全な場違い!日本からアントラーズの応援に駆けつけたと思しきサポーターは二階席の角に小さく固められており、遠く対角に位置していた僕らの席に彼らの応援はほとんど届かない。9割程度が上海申花の応援という圧倒的な状況の中、日本チームを応援する事はとても怖い。

試合開始前、上海申花のサポーターが、ボクらが先に張りだしていた「がんばれ」の横断幕の上から申花の横断幕を張ろうとしてきた。思わず、カチンと来て、試合開始前から、早速、揉めた。「てめー、ふざけんな」と口論していたら、警備にあたっていた警察官が仲裁にやってきて、二階の隅っこのアントラーズ応援席に行くように進められた。が、そんな遠いところから応援なんか出来るかっ!というわけで、あっさり突っぱねたところ、試合中ずーと、警察官の方が近くに座っており、マークされっぱなしでした。

まあ、アウェイの試合というのは、選手や監督だけじゃなくて、応援する側もアウェイなのだ。普段、上海に住んでいて、中国のヒトと対立する事なんてほとんどない。でも、こうやって対立する時もあるものだ。長く居ると忘れてしまうが、やはり、ボクらはアウェイな土地で仕事、生活をしているのだという事を思い出す経験だ。

試合中、先行された鹿島アントラーズがマルキーニョス選手の得点で追いついた時、周りがシーンとする中、ボクらは立ち上がって歓喜した。この時、「中華」という銘柄のタバコの空き箱が飛んできた。4元(約60円)ぐらいの安タバコではなく、40元(約600円)という高級タバコであった事から、それなりの立場の方なのだろうと思う。イタダケナイ。


▼ 鹿島アントラーズの応援席は、二階の隅っこに固められていた(左)

上海申花vs鹿島アントラーズ

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