シャンハイパスファインダー (第5回)
第5回:ソウキタイショク
ワンジーテクノロジーズ(株)
代表取締役
Andy JK Wang(眞崎英彦)さん
長崎出身。バックパッカーな大学ライフを満喫した後、大学院を中退し、ベンチャーに勤める。一度、転職し、二社目に入社したベンチャー企業がマザーズに上場する。05年に退職し、ワンジーテクノロジーズを設立。嫁、子供3人、ネコ1匹の大家族。
(2009年11月1日掲載)
ここ最近、日本で早期退職の話を聞くことが多くなった。メディアを通じた話だけではなく、身近な友人の話として耳にするので、何となく身にしみる。
会社から早期退職制度が示されたというだけの事もあれば、実際にそれを受けた、または、受けるかべきかどうか悩んでいるという話を聞く。今の日本が景気後退局面である事は間違いないが、金融危機直後の時のリストラとはちょっと違っていて、企業側が慌てふためいているという感じは受けず、冷静にリストラを行っているように見える。
早期退職というと、比較的年代が若いここの読者には遠い話だと思うので、実感がわかないと思う。まあ、そりゃそうだ。
友人の数人が早期退職の話を受けたという話を聞いた時、正直、勇気あるナーと思った。みんな40歳以上だ。こんな不景気で失業率が高い時に再就職先なんかあるのかと思ってしまう。でも、あるヒトにはあるのだ、これが。
早期退職制度のよく言われている問題の一つに「優秀なヒトから辞めていく」という問題がある。本当にそうなのだなと、今回、改めて実感した。まあ、そんな一人から中国で挑戦してみたいという相談もあったが、年齢がいってからの勝負は覚悟が必要だと伝えておいた。今の中国で働くというのは将来に向けた自分への投資という面も否定出来ないのだ。いかんせん、物価が安く、給与もそれに引きずられるのだ。今はそれが現実だ。
リストラというのは企業が出す一つのアウトプットに過ぎないのだが、企業体の本質を表している。企業は企業自身が生き残る為の最適化を行おうとするものだ。柔道の受け身と同じで、手を犠牲にして体を守るという事を考える。結果、腕が無くなったとしても心臓を動かし続ける事を考えるのだ。腕がなくなれば、後日、困る事になるが、今は生きられる。今を生きなければ、明日はない。
自分自身が所属している組織において腕であるかどうか、心臓であるかという事自体に意味はない。例え、心臓側であったとしても、意味のある脳みそがなければ、心臓であったとしても無意味で、切り離される腕の方が幸せかも知れない。自分が何であるかという事をしっかり理解しておく事が重要だ。
社内におけるポジショニングは相対的な部分もあるので、自分の意志ではどうにもならない事の方が多いだろうが、自分が切り離される腕の側であったとしても、切り離されたあと、生き残る必要がある。そこに向けて、今、何をなすかという事を考え、早い段階で行動に移せば、人生の後悔は少ないと思う。
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