YOU CAN DO IT (第7回)
第7回:attendance vs participation
(2010年8月1日掲載)
「ね~ぇ、聞いてよヽ(*`ェ´*)ノ !! 授業だってちゃんと出席しているし、提出物もきちんと出しているんだよ。テストだって良い点数なのに、私よりも点数の低いXXのほうが成績が良いんだけれど・・・」
しばしば日本人留学生からこんな相談を受ける。
そんな学生の多くは日本でも「真面目でおとなしい」学生だったりする。
そしてXXは日本人学生ではないことが多い。
「授業中は積極的に発言しているの?」
「いいえ、あんまり・・・」
「XXは?」
「XXはすごくよく発言してるけれど、間違っていることもよくあるよ」
通常、私と相談に来た学生との会話はこのように続いていく。
「間違っていることもあるけれど、すごくよく発言する」
実はここが第一のミソなのだ。
アメリカの大学のカタログやホームページにはattendance とparticipationについて詳細に説明してある項目がある。最初の授業の際に配られるシラバスや教授の説明の中にも、attendance とparticipationの項目が盛り込まれている。
Attendanceが「出席」ということは、今更特に説明はいらないと思う。
アメリカの大学では授業に出席することは大前提であり(もちろん日本でもそうなのだろうが)、出席点が成績に加味されるケースも多いが、反対にこの授業を何回欠席すると不合格になるとか、何回の遅刻で1回の欠席とみなすといった位置づけとしてattendanceについて説明されている場合も多くある。(ちなみに、遅刻、欠席に関しては相当厳しいと覚悟してほいたほうが良い)。
そんなわけで、私も留学中は日本では得意としていた「代返を頼む」ということは一度もなかった。
それではparticipationとは何か?手元にある和英辞書によるとparticipationとは「参加」とか「関与」とある。
もちろん「訳」としてはその通りなのだが、私が学生たちに話をする時には、もう少し言葉を足して「授業に積極的に参加すること」、「正解・不正解を意識することなく、自分の意見をどんどん発言すること」、「授業を大いに盛上げて活気ある授業を作り出すこと」、「日本人留学生ならではの意見をじゃんじゃん披露すること」などと説明するようにしている。
二番目のミソは「あっていようが、間違っていようが関係ない」ということだ。
言うまでもないことだが、中には私のように「ウケ」だけを狙ってわざと間違えたことを言って笑いをとろうとする人もいるかもしれないので、あえて言っておくと、「間違っても」というのは別に「わざと間違えなさい」と言っているわけではない。
結果的にその答えが「間違っていたり」、「その場では求められていないもの」であったり、また「少数意見」であったりしても、それがparticipationのポイントでマイナスに影響するということはないということを言いたいのだ。
アメリカでは実に多くの機会に、学生たちの意見が求められたり、グループワークがあったりする。
様々なケースで積極的に授業に関与する姿勢が求められ、それがparticipationとして評価される。
教授たちが授業中に「この授業には正解はたくさんあるが、不正解は一つも無い」、「皆が教科書的な意見を出していてはこの授業は楽しくならないし、有益にもならない」、「皆が正しいと私の出番はない」などと言っているのを聞いたのが印象的だったと答えている留学経験者がたくさんいる。
日本にいる時に、受身の授業に慣れている多くの日本人学生にとって、積極的に意見を言うことは大きなチャレンジであろう。残念ながらparticipationでポイントを稼げていない学生も少なくないのだ。
アメリカの大学の授業の中にはparticipationの得点がテストの得点に匹敵するような配分のものもかなりあるために、文頭にあったような成績の逆転劇がたびたびおこるのである。
「私目立つのは嫌い」、「僕はシャイだから」という日本人をよく見かけるが、いざ留学となるとそうは言っていられない。かといってアメリカに行ったら急に目立ちたがり屋に変貌したり、シャイじゃなくなるというものでもない。もし留学を計画しているのなら、日本にいる今から少しずつチャレンジを開始しておいたほうがいい。
よく留学準備と言うと、言葉(英語力)のことばかりに目がいきがちだが、実際はこの「シャイ」からの脱却のほうが時間がかかることなのかもしれない。
日々の生活の中でも工夫次第でparticipationを心掛けたトレーニングは可能なので、心当たりのある人はぜひ始めてもらいたい。
私はよく友人たちから「お前はレストランに行くとすぐウエイトレスをナンパするし、ホテルのチェックインの時でもフロントの女性を口説いている」と揶揄されるが、本当の目的は違うのだ。そう、私は今でもparticipationの練習を怠たることなく日々精進を続けているだけなのである。
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