YOU CAN DO IT (第9回)
第9回:若者よ、海外に出でよ
(2010年10月1日掲載)
「日本はすごく居心地がいい社会なんでしょうけれど、若者よ、海外に出よ、と言いたい。たとえ海外で成功しなくとも、一定期間、日本を外側からみるという体験は、何にもまして重要なはず」
ノーベル化学賞を受賞した米パデュー大特別教授の根岸英一氏が記者会見で特に日本の若者にあてたメッセージである。
根岸氏に限らず今日(こんにち)、多くの著名人たちが若者の内向き思考に懸念を示している。
そして異口同音に、「もっと海外にいくべき」と指摘している。
別に著名人が言ったから海外に行かなくてはならないということではないが、私も人生一度は外から日本を見る機会をもったほうがいいと思っている。
もちろん私自身がこのような考えに至ったのは自分自身がそのような体験をしたからであり、それ以前の大学生時代など、海外留学なんて考えたこともなかった。
しかし実際に体験してみると、確かに日本を外からみることの大事さがわかってくるのだ。
こればかりは百聞は一見にしかず、今このコラムに目を通されている人は少なからずも、海外で学んでみたいという気持ちがある人だと思うが、そうであればぜひ実現させたらいいと強く思う。
さらに言えば、海外に行くこと(海外で学ぶこと)は単に外から日本を見ることだけではない。
この世界がどのような人たち、どのような考え方の人たちによって構成され、運営されているかがわかる良い機会でもある。
今まで自分の中では常識であったことが、この広い世界の中ではマイナーなものであることもある。
自分が美徳と思っていたことが通用せず、とまどうこともある。
そして今までとはまったく違う考え方に触れ、刺激を受けることも多々あるのだ。
そういった様々な経験は必ず自分の中に宿り、その後の人生に少なからず影響を与えることになるはずだ。
今まで接したことのない人たちとの触れあい、友情もまた大きな財産となってこよう。
最近の世の中は大変に便利になり、日本にいながら海外の様々の情報が瞬時に手に入るようになっている。
だから、海外に行かなくても日本にいても大丈夫だという人がいる。
百聞は一見にしかずの「一見」を日本にいながらやれるだろうと思っている人もいるかもしれない。
なら、あえて言おう、「百見は一験にしかずだ」。
実際にその場で体験することは外野席から眺めている比ではないのである。
9回にわたって書きなぐってきたエッセイの最後を私もこの言葉で締めくくりたい。
「若者よ、海外に出でよ」
GOOD LUCK
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