世界に羽ばたく日本人と、日本でがんばる外国人を応援するコラム (第4回)
第4回:海外に活路を見いだす若者たち ~カンボジアに就職した、吉川舞さん その2
多文化情報誌「イミグランツ」ライター
ルポライター/在日外国人研究家
和田 秀子
出版社、コンテンツ制作会社勤務を経て、2004年に独立。著名人や起業家インタビューなど幅広く手がけるほか、ライフワークとして日本に住む外国人や、世界で活躍する日本人らの取材・執筆を手がけている。原稿・原稿作成代行サービス Cool Dog Press 代表。
ブログ「hideinu日記」:
http://ameblo.jp/hideinu-nikki
取材・原稿作成代行サービス「Cool Dog Press」:
http://cooldogpress.main.jp/
(2010年7月1日掲載)
他国で「学ぼう」「働こう」とする人の底知れぬ“エネルギー”に魅力を感じています。
このコラムでは、日本でがんばっている外国人や、世界に羽ばたこうとする日本人たちをご紹介していきたいと思います。
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海外に活路を見いだす若者たち ~カンボジアに就職した、吉川舞さん その2~
■その2■ 探していたものは、ここにある
カンボジアの農村地帯であるサンボー・プレイ・クック遺跡周辺の村には、アンコール・ワットより500年以上も前に建てられたとされる遺跡群があり、1998年から早稲田大学の遺跡研究チームが調査に取り組んでいる。
とはいえ、観光客はまだ少なく、移動は牛車かバイクが一般的。電気も水道もトイレさえなく、電気はバッテリーをチャージしておいて、必要なときだけ利用する。
吉川さんらが、ある民家に聞き取り調査のために訪れると、村民たちがあちこちから集まってきた。
「お子さんはどちらに住んでいるんですか?」と家人にたずねると、なぜか隣のおばさんが、「今はプノンペンで大学に通っていてね……」と、まるで自分の子どものことのように話し始める。また、村の人たちが食用にしている植物を味見させてもらったところ、あまりの渋さに思わず顔をしかめた吉川さんを見て、村の人たちはケラケラと笑い転げた。
そんな、この村では当たり前の風景が、吉川さんにとっては新鮮だった。
「日本では、私も含め“自分は何のために生まれてきたんだろう”なんて考える人が多いでしょう? でも、ここの人たちは違うんです。どんなに幼い子どもでも、ちゃんと自分の役割を分かっている。村の人同士で協力し合いながらも、きちんとひとりひとりが自立しているんです。電気も水道もない環境で、こんなにも豊かに、どっしりと大地に根を張って生きている人がいる。人としての力強さに、衝撃と尊敬の念を覚えました」
吉川さんは、村の女性が言ったこんなひと言が今でも忘れられない。
「村ではね、女は10歳にもなれば一人前なのよ」
20歳を過ぎても、根を張る場所を見いだせずにいた吉川さんを、そんなひと言が揺さぶった。
もちろん、もっとも楽しみにしていたカンボジアの遺跡群も素晴らしかった。
森の中に遺跡があり、その周りに村が点在している。村の人たちは、その森で薪を拾ったり、放牧をしたりして生活を営んでいた。おそらく、太古の昔から続いてきたであろう遺跡のある村の風景――。
村の人の生活と寄り添うように佇んでいる遺跡を目の当たりにした吉川さんは、「私の探していたものはコレだ! ここになら、私にもできることがあるのではないか」と感じたと言う。
「村の人たちの生活にプラスになるかたちで、なんとかこの素晴らしい遺跡を多くの人とシェアできないか――」
吉川さんは帰国後、同じくサンボー・プレイ・クックに魅せられた友人ふたりと、村を知り、地域と遺跡について学ぶための団体起ち上げた。
(3に続く……)
JSTは、カンボジアの文化遺産と、農村地域のこれからを応援するNGOです。
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