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グローバルキャリア塾 連載コラム

クロアチアからこんにちわ (第2回)

第2回:自分の商品価値を問う

ザグレブ経済経営大学
Zagreb School of Economics and Management

純子 スボタ

国際基督教大学国際関係学科卒。1995年より9年間シャープ株式会社に勤務。 海外代理店営業、OEM営業、及び渉外部勤務を経て、2003年より駐クロアチア日本大使私設アシスタントとしてザグレブに滞在。 生け花、茶の湯、着付け、寿司ワークショップ等日本文化関連行事の運営に携わり、クロアチアにおける日本文化理解の向上に尽力。 任期満了後、2007年から1年間、在パリのシャープ・エレクトロニクス・フランスに勤務。クロアチア人と結婚後、2008年2月よりザグレブ経済経営大学に勤務、 同大学のインターナショナルオフィスおよび日本センターの運営に携わる。2010年同大学MBA課程終了。3児の母。
■ ザグレブ経済経営大学 HP: http://www.zsem.hr/

ザグレブ経済経営大学

(2013年10月15日掲載)

ZSEMオリジナルコーラ

▲ザグレブ経済経営大学(ZSEM)オリジナルコーラ

シャープ株式会社に勤め一見順調なキャリアを築きつつあった私がなぜクロアチアにとどまりザグレブ経済経営大学に勤務するようになったか。これは前回書いた通りだが、今回は今に至るまでに様々な仕事をする中で学んだことについて触れてみたい。

95年当時はいわゆる氷河期だった。せっかく採用してもらったシャープだが、ヨーロッパに残る道を選んだことで退職。潔かったのは良いがその後の道は意外に厳しかった。健康な若者が遊んでいてはやっぱりイカンだろうということで早速就職活動開始。といっても日本の就職活動しか知らなかった私はいきなりうろたえた。

何をどうすればいいのか?とりあえず日本人だからということで人づてに打診のあった観光業者の面接に赴いた。「観光業の経験は?」「いえ、ありません」。簡単なやりとりの後、社長から提示のあった給与額を聞いて驚愕。あの、私、これでも大卒なんですけど...。そもそもクロアチアの給与水準が日本やフランスに比べて低いことは触れておかねばならないが、それを念頭に入れてもビックリする金額だった。ばかにするない!と憤り涙をグッとこらえつつ退散。次に赴いたのはテレコム会社。「この会社が何やってるか知ってる?」「はい、○×△」「じゃぁ、あなた何が出来るの?」「......。」しまった、自分が何が出来るか回答を用意していなかった。こういう肝心なことに答えられない人は要りません、当然そういうことでこの会社からもダメだしを喰らった。

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シャープにはどうして採用してもらったのだろう?思い返すに当時のシャープは海外事業に従事できる人材を探していた都合上、ICUで就職説明会を実施していた。最前列に陣取り「採用してー!」ビームを送っていた以外、特段自分に何が出来るか考えたことすらない。そのつけが回ったのだ。遠いクロアチアで。

クロアチアではICUという大学名は知られていない。「I see you, you don't see me」とクロアチア人の夫に皮肉られた程度だ。大学名がなんのその、出身大学だけで雇ってもらえるほど世間は甘くない。この本質が全く分かっていなかった私は、ICUを卒業したことが評価されないクロアチア社会に悪態をつき憤懣をぶつけ、大学入学以来自分の専門性を磨いてこなかった自分を振り返ることをおざなりにしていた。結局のところ、一歩外国に出れば、重要なのは出身大学や就職先なのではなく、自分が何者なのか、自分に何が出来るのかが問われるのだ。そういえば「何が出来ますか?」と尋ねられた某社課長が「課長なら出来ます」と言ったというジョークにその昔笑っていたが、まさに嘲笑うべき自分になっていたのだ。

事実、クロアチアでは役所関連の様々な書類に記載をする際、勤務先ではなく職業、あるいは専門的に勉強したことを書くようになっている。これには今も戸惑うのだが、看護士とか弁護士とか教師などと書けない私は「事務屋」とでも記入すれよいのだろうか?ザグレブ経済経営大学のアドミなんですけど....。職業ではなく最終学歴を書いても良いため、体よくMBAと書いて逃げることにしているが、自分が何が出来る人間かきちんと整理し他人に説明できるようにしておくことは非常に重要なことなのだ。

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若干予断になるが、当地で面白いなーと観察していることは、経済学部を卒業すると卒業生は皆「エコノミスト」を自称することである。エコノミストって金融機関の第一線でバリバリやってる経済や金融の専門家なんじゃないの?とツッコミを入れつつ、大卒でいきなりエコノミストを自負する若者達のタフさに感心してしまう。そういう彼らが本当に専門家に類する知識の持ち主かどうかは別として、何を勉強してきたから何が出来る(あるいは何がしたい)という問答が用意されていることが示唆され、そのような姿勢に学ばされる思いがするのである。ICUの国際関係学科を卒業してシャープの海外事業部に就いた自分には何が出来るのか?国際的な勉強してきて海外の仕事をしている....ではやっぱりまずいだろう。

件のテレコム会社の後、本職とは別に、ツアーガイドの通訳をはじめ、書籍の翻訳や会議通訳、またテレビ番組のコーディネートなど様々な仕事に恵まれてきたが、常に自分の専門性を問い続けている。幅広く仕事を手がけられることは他でもなくクロアチアに日本人の絶対数が少ないためだが、だからといって専門性を磨かない手はない。クロアチア語に関わる仕事と一口にいっても何かの分野を専門に出来るかどうかでまた将来の可能性が異なってくるのであり、これまで自分の専門性の追求をおろそかにしてきた者として遅ればせながら専門分野と呼べるものを作るべく努力を始めたところである。

あのままシャープに復職していたらあるいは考えもしなかったことかもしれない。というより、もしかしたら私のように能天気な人間はもう今の日本にはいないかもしれない。いくら日本といえどそれほどお気楽な国でもないはずだ。いずれにしても、大学名がそれなりに幅を利かせ就職先が物を言う社会ではない場所で生きることを決断する際には念頭に入れておきたいことの一つだと思う。

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そういえばザグレブ経済経営大学への就職がなぜ叶ったのか書いていなかった。いくつかの面接を経て意気消沈していた私はとあるレストランで夫と激励会を開いていた。そこにザグレブ経済経営大学の学長登場。先方は既に食事を終えたようだったが、「あぁザグレブにいたんですね」「はい、パリから戻りました」「ではうちの大学に来てみますか?」.....。

渡りに船とはこのことだ。ありがたく就職させてもらったが、自分のいわゆる商品価値を常に問われる環境にあることには違いない。怠けず精進の日々である。

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