グローバルキャリア塾 連載コラム

クロアチアからこんにちわ (第7回)

第7回:クロアチア人にとっての海

ザグレブ経済経営大学
Zagreb School of Economics and Management

純子 スボタ

国際基督教大学国際関係学科卒。1995年より9年間シャープ株式会社に勤務。 海外代理店営業、OEM営業、及び渉外部勤務を経て、2003年より駐クロアチア日本大使私設アシスタントとしてザグレブに滞在。 生け花、茶の湯、着付け、寿司ワークショップ等日本文化関連行事の運営に携わり、クロアチアにおける日本文化理解の向上に尽力。 任期満了後、2007年から1年間、在パリのシャープ・エレクトロニクス・フランスに勤務。クロアチア人と結婚後、2008年2月よりザグレブ経済経営大学に勤務、 同大学のインターナショナルオフィスおよび日本センターの運営に携わる。2010年同大学MBA課程終了。3児の母。
■ ザグレブ経済経営大学 HP: http://www.zsem.hr/

ザグレブ経済経営大学

(2014年6月15日掲載)

本題に入る前に、前回の「クロアチア語って面白い」の続きを少しばかり。クロアチア語には悪態をつく時の言葉が豊富にある。日本語では「オマエの母さん出べそ」くらいしか思いつかない私はひたすら関心させられる。是非とも紹介したいところだが、とてもこの場で書き連ねる訳にはいかない。そこで少しそれて愛称について。

英語では「ハニー」とか「スウィートハート」となるところ、クロアチア語での定番は「ドラガ(女性)/ドラギ(男性)」、「ズラト」(金)、「スンツェ」(太陽)。「ビセル」(真珠)というのもある。子供向けには「マラ/マリ」(小さい)や「シェチェル」(砂糖!)。恋人や伴侶には「リュバヴィ」(愛....)。日本語ではせいぜい名前かあだ名を呼ぶか、「ねぇあんた」「ちょっと」といったところか。実に味気ないと思う反面、夫に「リュバヴィ」と呼ばれていまだに照れくささを隠せない私である。

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さて、本題の「海」。アドリア海自慢のクロアチア人にとって海は格別なものである。海が好きな日本人も多いには違いない。でもクロアチア人にとっての海はその重さが違う。夏の到来を感じると巷で「夏休みはいつから?」「海にいくの?」という会話を耳にする。クロアチア人に限らずヨーロッパに共通することだろうと思うが、当地の夏休みはほぼ1ヶ月。会社によって2週間というところもあるが、そういう人は大抵可哀想がられる。かくいう私もザグレブ経済経営大学から4週間の夏休みをもらう立場にある。

勤務し始めた頃は4週間も一体何すればいいんだ?と不安に駆られた記憶があるが、楽しいことにはすぐに馴染む我が体質。今や2週間しか休みがない義理の姉を可哀想がっている。

そして、クロアチア人の夏休みに欠かせないのが海辺の別荘。別荘と聞くと日本人的には資産家が軽井沢あたりに所有する豪奢なものを思い浮かべるが、当地の別荘はまさにピンからキリまで。電気や水道が敷設されていない家や都心のアパート顔負けの狭さのアパートもやはり別荘なのである。とりあえず壁としてレンガだけ積みました...的な別荘もある。電気がなかろうが水道がなかろうが問題ではないのだ。アドリア海岸沿いの町に別荘を持つことがクロアチア人の誇りなのである。ほぼ3ヶ月も夏休みがある子供達はもっぱらそうした別荘でドップリ夏休みを過ごすのである。

昨年の夏、一軒の海辺のアパートを従兄弟達とシェアせねばならない理由から夏休みの半分以上をザグレブで過ごすことになった近所の子の悲哀をみて驚いた。そんなに嘆くことかい?と、ついつい突っ込んでしまった。

忙しい日本人の多くは1ヶ月も海辺にいたらきっと飽きてしまうだろう。もったいないと思う人も多いのではないだろうか。ましてや50を過ぎた世代が日本のビーチで海水浴とはちょっと想像しがたい。そこにくるとクロアチア人は年齢問わず、性別問わず、海が大好き。海で過ごさない夏なんかアリエナイ!といわれんばかりの勢い。美白街道を行く日本人には理解しがたいがひたすらビーチで甲羅干しをする人、一日に何度も水浴びに行く人、海岸沿いのカフェでゆっくり一杯のコーヒーをすする人、日中は寝て夜間にイソイソとクラブに通う人。楽しみ方は人それぞれだが、共通するのは海辺の別荘でこよなく夏を楽しむことである。

厄介なのはこの別荘、当然維持費がかかることである。そもそも借金大国のクロアチア、一般市民も大概借金を背負っている。それなのに、海の別荘は手放さない。夏の間しか使わない別荘でも税金はタップリ取られるが、実際我が家族も手放さない。そんなに無理するくらいならササッと売却したらどうかと小声で提案する私とは常に平行線。海辺で夏を過ごすための別荘があることがいかに大事か改めて認識させられる次第だ。 

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