グローバルキャリア塾 連載コラム

支援現場で会った人びと (第4回)

第4回:カンボジアの10億人分の5人

一般財団法人 民際センター

冨田 直樹

1961年生まれ。大学4年の時に起こったエチオピア大飢饉で欧米の学生が次々に支援地域に出かけるのを見て、 いつか自分もと思っていた。サラリーマン時代にパレスチナの難民キャンプ支援をするNGOとかかわったのがきっかけで、 この世界に。現在、東南アジアの経済的に貧しい子どもたちの教育支援をしているNGO民際センターのファンドレイジング事業開発部第一部長。

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一般財団法人 民際センター

(2013年4月15日掲載)

必要最低限の生活を満たされない状態のことを「絶対的貧困」といいます。収入でいうと1日1.25ドル未満で、世界に約10億人いると言われています。WFP=国連食糧計画によれば、慢性的な飢餓に陥っている人口は約8億人で、発展途上国において栄養失調で死亡する5歳未満の子どもは年500万人にもなります。1日に換算すると約14,000人。500人乗りのジャンボジェット機28機分です。5歳未満の子どもで満員のジャンボジェット機が毎日28機、1年365日毎日墜落していると考えると、これはすごい数字ですね。

10億人とか500万人とかという数字はちょっと大きすぎて、なかなかパッとイメージできませんが、その一人ひとりに希望や夢があると思います。しかし、それよりも不安や恐怖・絶望の方がずっと大きいでしょう。子どもたちにとって毎日「お腹がすいた(食べるものがない)」「寒い(家や着るものがない)」「熱で頭が痛い(薬がない・医者に行けない)」ということであり、教育を受けられず、夢や希望が閉ざされている(貧困の連鎖から抜け出せない)ことを意味します。

2008年10月、ダルニー奨学金をもらっているカンボジアの小学生(4~6年生)24名とその保護者22名に集中的に話を聞きました。

小5のプートナイは3人姉妹の末っ子。お母さんは離婚をして日雇いの農作業をしています。長女と次女はそれぞれ小4と小5で中退していました。学校に行く前と後、毎日、森に入って1時間半ぐらい食料をみつけることが彼女の日課です。本当は村の子どもたちに言葉を教えることが好きなのですが、その時間はありません。森で食べるものを見つられないと、どうするの?という質問に「近隣からお金やお米を借りることもあります」と悲しい顔で答えました。夢は看護師になることなのですが、勉強する時間は全くないそうです。

プートナイ

 

ドーンウォンは小5(11歳)。お兄さんは小5で中退。両親は行方不明で、祖母が2人を含む孫14名を養っています。ドーンウォンの日課は水汲みで1日5回、20kg近い水を運びます。夢は高校まで行くこと、そしてできたら先生になること。そう語るドーンウォンに祖母が「孫のためにはできるだけ教育を受けてもらいたい。そのために私は死に物狂いで働く、としか今は言えません」と声を詰まらせました。

ドーンウォン


最後に小5のウーンサムライ(13歳)。お父さんは両足切断で働けず、お母さんが日雇いの農作業をしています。仕事の収入は1日1ドル。その仕事ですら見つからない日もあるそうです。お母さんはドーンウォンに勉強するように言います。「でないと、私のような農家になって苦しい生活を送るようになってしまうよ」と。

ウーンサムライ


絶対的貧困の10億分人の5人の生活実態を垣間見た気がしました。

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