支援現場で会った人びと (第5回)
第5回:日常から世界の貧困を考える
冨田 直樹
1961年生まれ。大学4年の時に起こったエチオピア大飢饉で欧米の学生が次々に支援地域に出かけるのを見て、 いつか自分もと思っていた。サラリーマン時代にパレスチナの難民キャンプ支援をするNGOとかかわったのがきっかけで、 この世界に。現在、東南アジアの経済的に貧しい子どもたちの教育支援をしているNGO民際センターのファンドレイジング事業開発部第一部長。
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(2013年5月15日掲載)
前回のコラムで、栄養失調で死亡する5歳未満の子どもが世界で年間約500万人いると書きました。世界の貧困問題を身近な問題と感じてもらうため、以下のような視点で考えてみます。
今の時代、日本の都市部で生活していたら、少なくとも1週間に1回はコンビニに行くのではないでしょうか(いやいや、1日1回?)。そのコンビニ1店舗から1日10~15キロのゴミが出ると言われています。新聞報道によれば、主要コンビニ10社で食料廃棄物は年間17万トンになります。農水省の統計では、2009年度の日本全体の食料廃棄物は約1,900万トンでした(うち、リサイクルは約500万トンです)。一方、日本は外国から食料を約3,000万トン輸入しています(同年度)。ところで、栄養失調の人々に主に国連やNGOなどが食料援助を行っていますが、それが世界全体で300~500万トンです。
頭の中に世界地図を思い浮かべて、この食料の流れを想像してみます。3,000万トンの食料が日本に向かい、日本の中で1,900万トンの食料が捨てられる。一方、主に発展途上国で5歳未満の500万人の子どもどもが栄養失調で、そこに欧米や日本などから300~500万トンの食料が提供される――。このように想像すると、日本(自分)が世界の食料の大きな流れの中にいて、栄養失調の人々と少し関係があると感じられないでしょうか。
世界の貧困を身近に感じてもらうために、もう1つ別の例を出します。
日本の砂糖は約7割が輸入されています(2010年)。その4分の3がタイからで、しかも、民際センターが教育支援しているタイ東北地方はサトウキビ生産のメッカなのです。
ダルニー奨学金をもらっている中3のビン(写真)は学校が終わると、家から10キロ離れたサトウキビ畑で4時~8時まで働きます。2~3メートルあるサトウキビを切り倒し、葉の部分を刈り取り、10本を束にしてトラックまで運びます。これを数十回繰り返して日当は約700円。ビンは祖々父母、祖父母、両親、妹の8人家族で、母親は介護で働きに出られないため、稼ぎ手は父親と2人。父親は農作業の日雇い労働者ですが、農閑期には仕事がなく、農繁期も天候によっては仕事がありません。家族を養うため、ビンは少しでも収入が欲しいのですが、重労働のため1週間毎日働くことはできません。
日本でも欧米でもカフェの砂糖は無料です。使って余ると、そのまま捨ててしまいます。その理由は砂糖のコストが安いからです。コストが安いのは、発展途上国で驚く程安い賃金で生産している人がいるからです。ここにも、私たちの生活と世界の貧困の関係を考えるヒント・材料があります。
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