Doing Charity by Doing Business
第2回:ストーリーを売ること
Mobell Communications Limited
マーケティングマネジャー
山田 真人
東京都出身。英国通信会社のMobellの社員。
Mobellではマラウイ、英国、
(2021年6月8日掲載)
前回の記事には、Mobellの”Doing Charity by Doing Business”というMissionについて、チャリティ型のシムカード、NPO法人せいぼにおけるマラウイの給食支援を通して、お話をさせて頂きました。
今回は、そのMissionの重要性について、お話が出来ればと思います。
Charityの発信の難しさ
皆さんもご存じの通り、日本でcharityについて触れることは、独特の難しさがあります。
海外と違い、一般的な営利企業の信頼度は高いですが、NPOの信頼は高くはなく、さらにチャリティ団体そのものが、日本には存在していません。
そんな中で、charityに繋がるシムカードは、果たして付加価値になるのでしょうか。
こうした点は、私がいつも考えていることの一つです。
ある会社で、通信事業の営業で訪れた際、商品の提案書の最後のページに、charityに繋がる商品であることを入れていました。
すると、そのページを見たその社長が、私たちには「奥ゆかしさ」がないと、指摘をしました。
この「奥ゆかしさ」は、日本特有の言葉だと思います。
直接的に相手に事実を突きつけて、行動を迫るような形ではなく、相手の状況に合わせて情報の発信方法を変え、聞き手にその事実を考えさせるという、適切な「余裕」がこの言葉に込められているように感じたのです。
チャリティコーヒーの誕生
NPO法人せいぼとしても、charityを適切に日本で広めていくためには、どんな活動が必要なのかについて、その後もっと突き詰めて考えるようになりました。
マラウイという日本人にとっては馴染みのない、遠い国に対して、charityという文化的に身近ではない概念を使ってどのように活動していったらいいのか、大きな課題であると感じていました。
しかし、「日本でcharityを広めるためにはどうしたらいいか」というTony Smithの問いが、自分の入社のきっかけになったことも、改めて思い出しました。
そんな中で、ある東京のマラウイ産コーヒーを輸入している通商会社の方との出会いから、現地のコーヒーを販売するというきっかけを頂きました。
その結果、オンラインで、寄付に繋がるコーヒーを販売することになったのです。
(https://www.charity-coffee.jp/)
ストーリーを売ること
charityという言葉、そしてマラウイという馴染みのない国の名前を、どのように発信し、実際に寄付を頂けるかについて、その解決策の一つが、コーヒーで現地を知ってもらい、購入をしてもらうことで、寄付をしてもらうという仕組みでした。
そのコーヒーは、現地でフェアトレード認証があり、AAランクの高級なコーヒーで、農園の人々は、そのコーヒーによる収入により、家族、地元の共同体に貢献しています。
つまり、現地のストーリーを売ることで、charityを広めるということです。
2018年、著者が現地を訪れた際には、一人の農夫の方が私に自分の畑を見せてくれ、自分の家族がどのように育てたコーヒーによって生活をしているのかについても、教えてくれました。
偶然ですが、彼の名前も、Tony Mbezeで、昔お世話になったイギリス人の名前を取って、両親がTonyと付けたと語っていました。
Mobellのチャリティストーリー
このコーヒーは、モベルが運営費などを負担することによって、売り上げの100%が、現地の学校給食として送金される仕組みになっています。
charityは、ビジネスの支えがあることによって、成り立っています。
現在、こうした消費を、「エシカル消費」と表現するなど、多くの人々が少しずつ、単なる消費活動から、その裏側にあるスト―リーに向き合おうとしていると思います。
Mobellの日本でのMissionは、charityの文化を広めることです。
しかし、それは日本特有の「奥ゆかしさ」の中で培われるべきものです。
こうした現地に根差した事業の実践が、真の国際交流に繋がっていくと信じています。
将来は、シムカードも含め、ストーリーを届けられる商品を作っていければ思います。
それには、”Doing Charity by Doing Business”というMissionに立ち戻って考えることが、常に重要なことだと考えています。
マラウイ北部コーヒー農園にて。農夫のTony Mbezeと著者の写真
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