Doing Charity by Doing Business
第3回:チャリティと教育
Mobell Communications Limited
マーケティングマネジャー
山田 真人
東京都出身。英国通信会社のMobellの社員。
Mobellではマラウイ、英国、
(2021年9月13日掲載)
前回のコラムでは、日本でのチャリティの発信の難しさ、その結果誕生したマラウイ産コーヒーと現地の人々のエピソードをお伝えすることで、商品を売ることだけではなく、そのストーリーを売ることの重要性について、お話をさせて頂きました。
今回は、そのストーリーの舞台であるマラウイのお話を中心にさせて頂き、現地でMobellが関わる社会貢献事業を通して、アフリカと一緒に私たちの教育を考えます。
また、その中で、ご紹介しているオンライン留学コースが、どんな役割を持っているかも、合わせてお話させて頂きます。
マラウイという国について
マラウイは、東アフリカの小さな国で、人口は1,900万人程度になり、公用語が英語で、国民の50%が18歳未満という若い国でもあります。
国民性は、Warm Heart of Africaとも呼ばれ、内陸国ながら大きな戦争をしたことがなく、日本からも多くのボランティアなどが派遣されている国です。
一方で、農業以外に国内で産業が少なく、頼れるリーダーがおらず、私的にビジネスを始める上で、ローンを組むのも、資金が多くかかります。
以上のようにマラウイは、若い人口が多く、心豊かな性格を持っていますが、仕事で成長し、安定した生活をする上で、十分な機会、環境が整わない部分があります。
職業訓練センター
こうしたマラウイの状態と、Mobellの代表であるTony Smithは出会い、当時現地の若者に、最も必要なものは何かと尋ねました。
その答えは、食べ物などではなく、「仕事!」でした。
Tonyは当時、その答えに驚いたそうです。今すぐに必要な衣服、食べ物といったものではなく、仕事という長期的な視野を踏まえた答えだったからです。
Tonyは、現地にBeehiveという職業訓練センターを作ります。
2015年のマラウイと日本の繋がり
2015年、マラウイでは大規模な洪水が起こってしまいます。
その結果、特に乳幼児の死亡率が高くなってしまいました。
現地には、多くのボランティアがいましたが、日本人のスタッフも多くいました。
実は、マラウイと日本には、大きな繋がりがあります。
日本の青年海外協力隊は、2011年の東日本大震災後、岩手県遠野市のお米を使用し、マラウイに東北の町おこしとして、給食を提供していました。
さらに、驚きの事実は、2011年の震災時には、マラウイのロータリークラブからも、日本の外務省は寄付を受けていたのです。
▲マラウイが日本へ支援金を送った際の文書
以上のような事実を基に、日本でマラウイのために何ができるのかという議論が始まりました。
そこで始まったのは、現地のための学校給食支援のために活動する、日本NPOで、Mobellが活動をサポートする、NPO法人せいぼでした。
現在でも、マラウイ北部、南部の幼稚園、小学校に学校給食を届けています。
「与える」という行為と教育の重要性
マラウイは、若い人々が多く、仕事を必要としていました。
そして、乳幼児は、学校給食を通じて学校に通うきっかけを作り、空腹を避けて、学習に取り組むことを必要としています。
これらの事実を日本の問題として引き寄せて考えることができたのは、既にご紹介した2011年以降の日本とマラウイの繋がり、そしてそれまでボランティアの派遣などを通じて養った関係性のおかげです。
その関係の中で最も大事な要素は何かについて考えると、それは他者が困難を抱えているときに「与える」という行為だったと思います。
Mobellの現在の取組み
Mobellは、上記でご説明した職業訓練センターであるビーハイブの中に、IT学校を持っています。そこではマラウイ人の人々が、リーダーシップ、ITスキルを身に付け、社会に出ていくための準備をしています。
この学校で働く講師たちが、Mobellのオンライン留学コースでも、先生として活躍します。
日本とマラウイをオンラインで繋げ、定期的に授業を提供する試みは、とても画期的なものとなっており、現地の先生にも大きなモチベーションになっています。
さらに、画期的な点が、もう一点あります。
それは、留学コースの料金も、社会貢献に繋がり、現地の教育のために使われる点です。
現在、Mobellは、ビーハイブ内に小学校を建設しています。
この建設費、そして学校給食の支援にも、留学コースの料金が充てられます。
Mobellの考える教育の重要性
マラウイの学校給食事業、職業訓練センターの発展は、全て「与える」行為によって繋がった、日本とマラウイの関係によって起こったものです。
Mobellでは、この体験をチャリティの精神の根本と考え、その理念、歴史をお伝えした上で、具体的な社会貢献ビジネスを企画し、実践することが重要と考えています。
日本では、学力の三要素として、「思考力、判断力、表現力」に加え、「主体性、多様性、協働性」が唱えられています。
この要素を生かしていくために、マラウイのようなアフリカの国の姿を知り、一見遠い国同士を結び付けてきたチャリティの歴史について主体的に思考し、多様な価値観を基に実践してみることは、今後の私たちの教育にも重要な要素になると思います。
Mobellは、留学コース内で、最初の週にてチャリティの概念の歴史、社会的企業の姿について扱っています。
その後、ビジネス英語やプレゼンテーションで具体的な発信、創案の力を磨くコースを提供しています。
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