本気で世界で活躍したいと思う君へ ─ グローバル人材として必要とされるには?─
第3回:個人主義と集団主義を理解するー実践面で求められる異文化理解の必要性ー
World Unite Japan株式会社
プログラム開発マネージャー
辻 望実
World Unite! International teamの一員として教育プログラムの企画・運営・開発・販売・マーケティン グなど、タンザニア・ドイツ・南アフリカ・ギリシャ・アメリカ・イギリス・日本等の世界各国の顧客やパートナー企業と共に様々な業務に携わる。業務の傍ら、実践型教育プログラムである、
(2021年8月1日掲載)
はじめにー文化の違いを分析する際に役立つHofstedeの6次元モデルー
第二回 軽視される異文化理解能力ー流暢な英語=グローバル人材?ーでは文化の重要性についてでした。
この回ではどの様に文化背景の違う人たちと接する際の注意すべき点について書いていきます。
World Unite!の異文化理解についてのオリエンテーションの際に文化の違いについての分析で、よく用いられるのがHofstedeの6次元モデルです。
Hofstedeの6次元モデルの6つは以下の通りです。
権力格差、集団主義VS個人主義、男性性VS女性性(※1)、不確実性の回避、短期志向VS長期志向、欲望への逸楽VS制御(※2)
Hofstedeインスティチュートの公式ホームページの”Country comparison”のページでは実際に国名を入れる事によって、各項目がスコア化され、数値の違いにより文化の違いを分析する事ができます。
→ COUNTRY COMPARISON(Hofstede Insights)
これらの国のスコアは、Hofstedeの研究と、世界中の何千人もの個人の調査に基づく他の多くの研究者の研究の結果です。全国平均として理解されるべきであり、それはもちろん国内でさえ個人ごとに異なる可能性があるという前提があります。
ちなみに、World Unite!代表のエングラー氏はこの、Hofstedeが設立した、ホーフステーデ・インスティチュードの認定講師であり、プログラム運営チームは彼のトレーニングを理論面で文化の違いの分析方法などの研修を受けており、プログラムの参加者のサポート時やオリエンテーション時に説明を行っています。
※1「男らしさ」は達成、成功、競争の強い意志を意味し、「女性らしさ」は「生活の質を創造し、他人を気遣うこと」を意味します。
※2 欲望や衝動に従うか自己制約を行うか
文化の違いによるコミュニケーション上のトラブルの原因ー集団主義VS個人主義ー
このHofstedeの6次元モデルの6項目ですが、集団主義と個人主義の考え方の違いや対立がトラブルになりやすい原因の1つである事を、現職の国内外のインターン生や受け入れ先のサポートを通して、実感することが多いです。
国内でのインターンシップ先がドイツ、アメリカ、デンマークなどの国外からインターン生の受け入れをした際に起こるトラブルは集団主義と個人主義文化の違いの起因がほとんどです。
これは、コミュニケーションの仕方の違いで最も顕著に見られます。
集団主義国でのコミュニケーションは通常、非常に間接的で外交的です。グループの調和は重要であると考えられているため、問題、対立、さまざまな意見は、グループの調和を損なうものと見なされるため、直接的な表現を避ける、もしくは非常に間接的な方法でのみ言及されることがよくあります。外国人が日本語でコミュニケーションするとき、または日本人が英語でコミュニケーションするときの言語の壁を考慮すると、ニュアンス等が失われることが多く、間接的な表現では相手に気づかれず、理解されないことがよくあります。
同様に、日本人は、個人主義文化の人々の直接的なコミュニケーション方法に慣れていません。個人主義文化の外国人は、通常、主題レベルと個人レベルを強く区別しているため(個人主義文化では異なる意見は異なる意見として受け止められます)、特定のことを批判すると、個人を批判された様に受け止めてしまいます。
英語は、米国、英国、オーストラリアなどの個人主義文化だけでなく、インドやアフリカ諸国などの集団主義文化でも使用されており、個人主義文化や集団主義文化の個人を含む世界的なコミュニケーションの共通語として使用されています。
日本人参加者に関してはインターンシップ先が集団主義文化のバックグラウンドの場合、何も問題無いように思えますが、教科書などで習う、英語のコミュニケーションが個人主義文化の影響を受けているため日本語ではとても丁寧なメールの書き方であったのにも関わらず、英語になったとたんとてもストレートな表現に代わり、ぎょっとする場面はよく見かけます。
この集団主義の場合のコミュニケーションの仕方と個人主義のコミュニケーションの仕方は全く異なる事を学校や教科書等では習っていないのです。集団主義と個人主義の考え方の違いを双方若しくはどちらかが理解しておく事により、コミュニケーション時のトラブルを避けることができます。
実践面で求められる異文化理解の必要性
第一回の記事でも触れた、要素Ⅱと要素Ⅲに比べ、どうしても評価が見えやすい要素Ⅰに力を入れやすいため、学校は英語教育、言語面に力を入れています。
しかし、学校が力を入れている能力は社会が求める能力がすれ違っている様に現職を通して感じます。
インターンシップ先の企業や団体のインターン生への評価をみると、英語の言語能力に対してよりも要素Ⅱと要素Ⅲの能力により注目や必要性について述べている事が多いです。
実際に英語が苦手なインターン生の勤務は、既に同時字幕が付く機能や精度はまだ荒いですが、同時通訳の機能を備えた無料のオンラインツール等を駆使します。
私もアクセントがあまりにも強い人や早口な人がいるミーティングでは同時字幕機能を使用し問題なく勤務を遂行しています。
この様に英語の言語自体は近い将来AIや翻訳機の発達などで、後、数年で言語を学ぶ必要性が無くなる気がするほど、科学技術の発達は目覚ましいです。
言語自体は科学技術でカバーできても文化の違いを考慮したコミュニケーションの仕方は言語程単純では無いため、機械がカバーするまで時間がかかるのでは無いかと予測しています。
そのため、集団主義と個人主義文化の違いの理解や考慮したコミュニケーションの仕方は言語の習得よりも本来は大事なのでは無いかと業務を思う日々です。
コロナウィルスによる日本のみならず、世界全体のオンライン化により、働く際に求められる能力も変化しました。
グローバル人材としてオンラインでの業務時に文化の違う人たちと協働する際に求められる能力について次回は書いていきます。
World Unite Japan株式会社プロフィール
World Unite!ではヨーロッパ、アフリカ、アジア、中南米等の世界20か国以上に渡り、実践的な教育 プログラムを提供しています。
World Unite!代表は異文化理解分野で有名なホーフステーデ・インスティチュードの認定講師で、運営チームは独自研修を受けた理論と実践に精通した多国籍なエキスパートで構成されています。 国際的なチームだからこそ、異文化間コミュニケーションのプロとして、様々な場面で求められる違う 文化背景の人たちとの働き方のアドバイスやサポートを適切に行い、世界で活躍できる日本を代表 する次世代のリーダーを育成します。
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