グローバルキャリア塾 連載コラム

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第6回:ナショナリストな日本人

World Unite Japan株式会社
プログラム開発マネージャー

辻 望実

World Unite! International teamの一員として教育プログラムの企画・運営・開発・販売・マーケティン グなど、タンザニア・ドイツ・南アフリカ・ギリシャ・アメリカ・イギリス・日本等の世界各国の顧客やパートナー企業と共に様々な業務に携わる。業務の傍ら、実践型教育プログラムである、フィンランドのOulu university of applied science のMaster’s degree in Education Entrepreneurship修了。(日本人初)

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(2022年3月1日掲載)

ナショナリストな日本人

はじめに

2022年が始まり2か月が経ちましたが、皆さんはどの様に過ごされていましたでしょうか?11月より卒業論文執筆のため大分長らくご無沙汰してしまいました。それにも関わらず、連載コラムをゆるゆると続けさせていただける毎日留学ナビのチームの方々に感謝です。さて、今回の内容はナショナリストな日本人というテーマです。ナショナリストには、民族主義や国家主義等の日本語があてはめられています。様々な定義がありますが、Oxford dictionaryの定義は”自国と強く同一視し、自国の利益を積極的に支持する人”です。ナショナリストな側面が見られるケースをいくつか紹介していきます。

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ウィルスは国籍を選ぶの?ー国や実践レベルで民族主義がみられる感染予防対策ー
①新規入国禁止の日本政府措置

最初のケースは水際対策の日本の措置についてです。2021年11月に新規入国禁止の解除が一時的に解除されましたが、オミクロン株の出現と同時に再度入国禁止となりました。日本国籍(+日本居住権を持つ外国人)の再入国以外は入国禁止となりました。最初は日本国籍のみの入国が可能でしたが、WHOが”日本の対応は理解困難”、”ウィルスはパスポートを読み込まない”と批判しました。
共同通信:WHO、日本の対応「理解困難」 ウイルスは国籍見ないと批判

またこのWHOの批判に対し、”島国だから考え方が違う”という意見する芸能人の方もおり、コメントで以下のような発言をされていました。

「もちろんウイルスに国籍はないんですけど、ウイルスを保有して運ぶ人は、国籍によって行動様式が全然違う」

「五輪の外国人記者が来た時に全然、ルール守らずに外出したのを我々じかに見ているんで、そこは対応が変わってしまうのは仕方ないと思う」
スポニチ:カズレーザーWHOの日本批判に「島国と陸続きの欧州は感覚が全然違う」「五輪の外国人記者は」

②日本国籍と外国籍でエレベーターを分ける感染予防措置

次のケースは実践面で起こったケースです。五輪時期に浅草東急ホテルが”Japanese only”と“foreigners only” の張り紙をエレベーターに張り付けて国籍にてエレベーターの使用を感染拡大予防措置として行いました。この措置は日本だけでなく海外でも人種差別の措置として各メディアで話題になりました。
The Japan times: Tokyo hotel blasted over 'Japanese only' notice for elevator

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日本人のナショナリストの側面を理解する

さて、話題を少々変えまして、前回第5回では、「日本人って一緒に働きやすい?それとも難しい?ー外国人経営者やマネージャーの本音ー」という題材にて、最後の結論では 、外国人経営者が”協働が可能な日本人や日本のパートナー企業・団体を見つけだす事が難しい”事に言及しました。
上記の原因の一つとして、このナショナリスト色が強いのも理由です。第5回の記事でも述べましたが、そもそも日本の企業や団体は”信頼”は働くうえで大事な必要要素です。その際に、”信頼”をコミュニケーションを行う際に日本人かどうかや日本語を話すかどうかも判断材料として図っています。
そのため、日本人がいない・若しくは日本語話者が居ない外国籍企業・団体だと、日本企業や団体からの信頼を得ることができずに協働ができない結果になる様です。

この仕事をしていても、日本の方のナショナリストの側面を見ることが多いです。例えば、タンザニアのプログラムに参加する日本人参加者で、親御さんの合意を得るために、お話をする機会がありました。
その時期、私はフィンランドにおり、勿論、タンザニア渡航予定ではあったものの、参加者本人の滞在時期に私がタンザニアにずっと居るわけでは無かったのですが、私がタンザニアにいるかどうかよりも、親御さんとしては参加者本人が使用する団体に日本人スタッフがいて、日本語での対応・サポートを行うという点に安心していただいたみたいです。

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人種差別に発展するナショナリスト志向は危険

「ウィルスは国籍を選ぶの?ー国や実践レベルで民族主義がみられる感染予防対策ー」で紹介した、②の措置に対してはコメントでは日本人からも流石に人種差別だという声が上がりましたが、①のケースも②のケースも行っていることの本質は同じです。それにも関わらず面白いことに政府が行う措置に対しては支持の姿勢のコメントがたくさん見られます。
記事で表記されている芸能人のコメントや類似記事のコメント欄で日本政府を支持する姿勢からは日本人=日本における行動様式が同じ・ルールは絶対に守るという内容が伺えます。そのため、例えば、外国人一人がルールを守らなかったら外国人と一括りにされ、日本人個人が規律等を守らなかったら”これだから、日本人は〜”とはならず、個人が批判されるのです。つまり、日本国籍でない方は他の外国籍の人たちに対して”外国人”としての責任が生まれている状況が、日本の”常識”なのです。

また、「日本のナショナリストを理解する」で述べた同じ国籍による安心感に関しては、同じ文化内同士のニーズや感覚が似ているので信頼がしやすいという点は日本のみで見られる現象という訳ではありませんが、極端で国の政策にまで見られるのが日本です。
それを踏まえた上で、物事に対しては国籍や人種の判断では無く、”理論的かどうか”、”本質として的を得ているか”をしっかりと見極めることが大事なのです。

この国籍や人種の判断してしまう傾向を第7回「国際協力に興味がある人超必見!ー ポストコロニアリズム思考に注意せよ!ー」でも探っていきます。

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World Unite Japan株式会社プロフィール

World Unite!ではヨーロッパ、アフリカ、アジア、中南米等の世界20か国以上に渡り、実践的な教育 プログラムを提供しています。
World Unite!代表は異文化理解分野で有名なホーフステーデ・インスティチュードの認定講師で、運営チームは独自研修を受けた理論と実践に精通した多国籍なエキスパートで構成されています。 国際的なチームだからこそ、異文化間コミュニケーションのプロとして、様々な場面で求められる違う 文化背景の人たちとの働き方のアドバイスやサポートを適切に行い、世界で活躍できる日本を代表 する次世代のリーダーを育成します。

World Unite Japan株式会社 ホームページ

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