違うから面白い世界 (第2回)
第2回:「~してもらう」から教えてもらったこと
Addictalk
代表
安 榮智
2004年、韓国建国大学を卒業後、文部科学省の国費留学生として東京大学大学院へ留学。2007年より見本市開催会社にて、イ・ビョンホンをはじめ、キム・スンウ、チ・ジニなど韓流スターのイベント通訳を経験。以後、フリーの通訳者、韓国語教師として活躍。2011年10月、代表事業主として韓国語オンラインスクールAddictalkを設立。自身がネイティブ並みに日本語を話せるようになった経験を活かして、楽しく効果的に学べる韓国語レッスンを開発・提供している。
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(2011年12月15日掲載)
日本語と韓国語は、よく文法が似ていると言われる。確かに「主語+目的語+述語」という語順も同じだし、「が、は、を、で、に」といった助詞の使い方も非常に似ているので、単語さえ置き換えれば多くの場合正しい文章になる。このような類似点のおかげで、韓国人は日本語が他の言語より易しいというイメージを持っている。私も日本語を勉強し始めた頃に、「英語なんかよりよっぽど簡単じゃん」と思ったことをよく覚えている。
しかし実際、日本語は勉強すればするほど難しくなる言語であり、私自身、壁にぶつかって挫折しかけたことが何度もある。その大きな「壁」の一つが、「~してもらう」という表現。「先生に教えてもらう」「先輩におごってもらう」「知人によくしてもらう」・・・。この「~してもらう」は、相手の行為に対する感謝の気持ちが含まれている言葉である。では、韓国語に同じような表現はないのだろうか。結論から言うと、そのまま置き換えて使える単語はない。「~してもらう」を使った文を韓国語にするには、文の構造を変えて表すしかないのである。
たとえば、「(私は)そのお店を友達に教えてもらった」を韓国語にすると、「친구가 그 가게를(나에게)가르쳐 주었다 (直訳:友達がそのお店を(私に)教えてくれた)」になる。日本語と韓国語で主語が異なることに気づいたのだろうか。つまり、「~してもらう」を含む文を韓国語に訳すと、行為を行った者が主語になるのである。
「~してもらう」は韓国語にはない表現なので、最初はこの表現がどうも理解できずよく間違えていた。しかし、ある時ふと、その使い方やニュアンスが非常に面白いことに気がついた。日本語は事柄を「私」の視点から話す傾向があるため、感謝や被害といった、相手の行動に対する感情が含まれやすい。一方、韓国語では行為者が主語になることが多いため、表現自体に自分自身の感情を含めることは難しい。こういった観点から見ると、日本語は主観的、韓国語は(日本語に比べて)客観的に、事柄を捉える言語だと言える。「ありがたい、嬉しい、迷惑だ、嫌だ」といった感情をそのまま言葉にして表すのではなく、表現に組み込んでニュアンスを変える日本語。私にとっては、とても奥深く、面白い発見であった。(実際、私は「授受表現:もらう、あげる、くれる」をテーマに修士論文を書いた。)
難しい文法の話になってしまったが、要するに、韓国語を勉強する際には「日本語と韓国語は似て非なるものである」ということを覚えておかなければならない。事柄の捉え方や表し方においては相違点も少なくないということ、そして、それは壁でもあり面白さでもあるということ。壁の先に見えるそれぞれの文化や考え方の違いを楽しむことができれば、言語は確実に上達する。是非皆さんにも、日本語にはない難しい文法や表現が出てきても、恐れず、むしろそれを楽しみの一つにして学んでほしい。
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