グローバルキャリア塾 連載コラム

違うから面白い世界 (第7回)

第7回:翻訳機の落とし穴

Addictalk
代表

安 榮智

2004年、韓国建国大学を卒業後、文部科学省の国費留学生として東京大学大学院へ留学。2007年より見本市開催会社にて、イ・ビョンホンをはじめ、キム・スンウ、チ・ジニなど韓流スターのイベント通訳を経験。以後、フリーの通訳者、韓国語教師として活躍。2011年10月、代表事業主として韓国語オンラインスクールAddictalkを設立。自身がネイティブ並みに日本語を話せるようになった経験を活かして、楽しく効果的に学べる韓国語レッスンを開発・提供している。

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Addictalk

(2012年8月15日掲載)

SNSのお陰で、世界各国にいる友達との距離がうんと縮まった。会って話さなくても言語が違っても、お互い日々どのように暮らしていて、何に興味を持ち、何を考えているのかがタイムリーに情報として入ってくる。たとえ私が日本語で書き込みをしても、韓国にいる友達ですら「翻訳する」のボタン一つで、何を言っているか瞬時に理解できる。逆に中国語やスペイン語で書かれた友達の書き込みも、翻訳機能を使えば、言葉が全く分からない私でも大体の意図が読み取れてしまう。こんなことが可能になるなんて、10年前は誰が想像しただろうか。なんとも便利な世の中だ。

私が大学に入り日本語を勉強し始めたばかりの頃は、短い一つの文章を理解するのも一苦労だった。分厚い辞書は常に欠かせない存在で、単語を一つ一つ調べながらゆっくりと書かれている意味を探る。かなりの時間はかかるものの、文章の意味が解読できた瞬間は大きな達成感と喜びを味わえた。そうして一つずつ積み重ねて覚えてきた日本語が、今ではこのようにコラムを書ける程のレベルになっている。

翻訳機に話を戻すと、最近インターネット上で無料で提供されている言語変換ソフトは確かに便利だ。例えば、現在Google翻訳で提供している言語の数はなんと64言語。これさえ使えば64ヶ国語で意思疎通が可能、というわけだ。しかし、翻訳機を使ってなんとなく意味がわかる、それだけで本当にいいのだろうか。言語の持つ細かいニュアンスあるいは文化的背景が伝わらないという点を鑑みると、書いた人の意図を完全に理解できたとは到底言い難い。翻訳機にかけて出てきた言葉は手っ取り早い分、その場限りで消費されてしまう。自動的に翻訳された単語の意味を覚える人はほとんどいないため、後に同じ文章が出てきてもまた前回と同様、翻訳機に頼ることになる。このように楽だから便利だからといって無料のサービスに頼りすぎると、自分で努力して言葉を覚える力、言葉を学ぶ喜びを失ってしまうように感じるのは、私の単なる杞憂なのだろうか。

先にも述べたが、言語にはそれぞれ異なるニュアンスや文化的背景に基づいた固有な単語が存在する。異なる母国語を持つ友達と、実のある会話をしたい、分かり合いたいと思うのであれば、そういった違いを理解することは必要不可欠である。皆さんには是非、翻訳機は表面的な意味しか捉えられないツールにすぎず、語学の勉強とは似て非なるものだということを認識しておいて欲しい。言葉を努力して学ぶ楽しさ、苦労の末理解できた時の喜び。それこそが、言語を学ぶ大きな醍醐味だからだ。

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