グローバルキャリア塾 連載コラム

違うから面白い世界 (第6回)

第6回:韓国人より韓国語が上手になれる!?

Addictalk
代表

安 榮智

2004年、韓国建国大学を卒業後、文部科学省の国費留学生として東京大学大学院へ留学。2007年より見本市開催会社にて、イ・ビョンホンをはじめ、キム・スンウ、チ・ジニなど韓流スターのイベント通訳を経験。以後、フリーの通訳者、韓国語教師として活躍。2011年10月、代表事業主として韓国語オンラインスクールAddictalkを設立。自身がネイティブ並みに日本語を話せるようになった経験を活かして、楽しく効果的に学べる韓国語レッスンを開発・提供している。

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(2012年6月15日掲載)

韓国語をはじめて教えたとき、韓国語の難しさに驚いた。

まずは入門からつまずいた。そもそも、子音と母音の組み合わせで作り出される文字の数が非常に多い。(単純計算で子音19×母音21×子音19 = 7,581、もちろんすべてが使われるわけではないが)また、パッチムによる音の変化など、思った以上に複雑で、考えたことすらなかった発音の規則を一つ一つ覚えなければならなかった。韓国人の私が大人になって韓国語を一から勉強することになるなんて、思ってもみなかった。

母国語を教えることは、一見誰でも簡単にできるように思われるが、実際教えてみると、その難しさに驚かされることも少なくない。韓国語母語話者だからと言って韓国語を教えられるわけではなく、日本人だからと言って日本語を教えられるわけではない。母国語というのは、赤ちゃんの時分から生活の中で繰り返し聞き、話し、自然とゆっくり身に付いてきた言語である。そのため、文法的・論理的な説明を求められると、誰もが最初は「それはね・・・」と一旦止まって考え込み、大半はきちんとした答えを出せず、「難しいね」で終わってしまう。

逆のケースをご紹介しよう。私が始めて社会人になって、会社で新入社員マナー研修を受けた際、敬語の使い方についての講座があった。講師の、「『居る』の尊敬語は?」「『行く、来る』の謙譲語は?」といった質問に、一番最初に答えられたのは韓国人である私だった。皆に「日本人より日本語が上手だね!」と言われたが、それは日本語能力試験を受けるために、動詞の謙譲語と尊敬語を覚えた経験があったからである。ちょうど英語の時制を覚える時、「do-did-done」と暗記するみたいに、私も敬語を覚えてきたのだ。このように、母国語でない言葉の方が意外と頭の中できれいに整理されていたりする。

外国語を学ぶ際、「すぐ話せるようになりたい!」という一心で、フレーズを丸ごと暗記する人がいる。
それも勉強方法の一つであり、目の前の問題を解消してくれるので効率的な場合もある。しかし、本当にその言語をマスターしたい・ネイティブのように話せるようになりたいのであれば、基礎文法からしっかり学ぶのが非常に重要であることは間違いない。皆さんもご存知の通り、母国語でない限り、そしてその言語にどっぷり浸かって生活しない限り、言葉を自然に身に付けるのは極めて難しい。まして、既に母国語というコミュニケーションの手段を身につけている私たちにとって、赤ちゃんのように「話せなければ誰とも会話ができない!」という危機感は持ちにくい。そもそも、大人になった私たちに、誰が「それはね、●●ではなくて▲▲が正しい言い方だよ」と、いちいち間違いを訂正してくれるだろうか?そんな中で、効率的に正しい外国語を学ぶには、赤ちゃんと同じ学習方法では到底追いつかないことは明らかだろう。

言語という大きなジグソーパズルを完成させるためには、一つ一つのパーツを丁寧に組み合わせていく地道な作業がとても大切になる。最初はつまらなく思える文法の勉強だが、一旦基礎がしっかりとキレイに整理されると、中級・上級の学習がとても楽になる。日本人はよく「英語の文法は沢山勉強したけど、結局話せないし、全然意味がなかった」と言うが、それは間違いである。問題は、文法を勉強したことではなく、その後で話す・聴く練習をしなかったことにある。

韓国語も、例外ではない。遠回りに思える文法の勉強も、実は正しい韓国語を習得するための近道だったりするわけだ。もちろん、とにかく文法だけ学べ!と言いたいわけではない。文法もリスニングやスピーキングと平行して楽しく学んで欲しい、それが私の願いである。そうすればいつか、皆さんが韓国語について聞かれたときに、韓国人よりちゃんと説明ができるようになることは間違いないだろう。

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