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グローバルキャリア塾 連載コラム

宮永コンピテント英語塾 (第3回)

第三回:言葉とともに文化を学ぼう  “That’s not fair!”

宮永コンピテント英語塾

宮永國子(みやなが くにこ)

宮永Competent英語塾 塾長、人類学博士。国際基督教大学大学院人類学教授、多摩大学グローバルスタディーズ学部創設学部長を経て、現在ハーバード大学研究員。

宮永コンピテント英語塾

(2008年5月15日掲載)

F子さんは会社のオーナー社長です。仕事で海外出張が多いのですが、今回は、ボストンの空港のホテルでのエピソードです。1泊129ドルで予約した部屋が、レートは190ドルだというのです。フロントの女性はさっさと、宿泊カードにレートを190と記入し、F子さんにSignatureと書いてある欄を鉛筆で指しながら、

“Please sign here.”

と言います。
F子さんはおやおやと思いながら言いました。

“I was told on the phone that the rate was 129 dollars.”

するとフロントの女性は、きっとなって言います。

“The rate is 190. There is no rate of 129.”

F子さんがとっさに、対応できないでいると、その女性は今度は強い口調で、繰り返します。
するとちょうど隣に立っていた男性が、F子さんを見下ろしながら、フロントの女性に向かって、言いました。

“I am sorry about your trouble.”

2メートルもある背の高い男性で、ちょっと怖い感じがありますが、とにかく余計なお世話です。F子さんは自分が、「うそつきの性悪アジアおんな」のように扱われている気がして、不愉快でした。F子さんは決心して、フロントの女性に言いました。        

 “I would like to talk to the manager.”

日本ならここで、40代の男性マネージャーの登場を期待します。長い間待たされた末、ボストンのホテルで出てきたのは、若い女性でした。F子さんの説明はこうでした。
「レート自体はどうでも良かったのです。空港ビルに歩いてゆけるのは、このホテルしかないので、たとえレートが300ドルでも、泊まったでしょう。実際夏には、そうしたこともあるのです。電話予約のときに190ドルといわれていたのなら、それで予約したでしょう。でも今になって、急にレートを変えられても、ほかのホテルに行くことも出来ない。もう夜も遅いし、早く眠りたい。とにかく早くチェックインしたい。わたくしにどうすることも出来ない状況で、レートをかえるなんてフェアで無いと思うのです。」

“I do not think it is fair to change the rate at this moment.That’s not fair!”

F子さんは言葉を選び、丁寧に事情を説明しました。するとマネージャー氏は言うのです。

“We can accommodate you for 110 dollars.”

110ドルがどこからでてきたのか、F子さんには分かりませんでしたが、とにかくこちらの言い分が全面的に認められたと思ったので、合意しました。ほんとうは、タダにしてくれたって良かったと、心の中では思ったのですが。
F子さんは部屋に入ると、すぐに129ドルのレートを得た予約電話の番号に電話しました。しかし、記録が無いと言って逃げられ、どうしようもありません。日本ではここで相手は、「すみません」を連発して逃げるのが、普通です。F子さんは念のため、言ってみました。

“It is your fault that you don’t have a record. 
 It is not fair that I am being charged for your mistake.”

驚くべきことに、相手は言います。

“You are right.”

アメリカは多様性の国です。ワンパターンでなく、臨機応変に何でもやってみることが、成功の秘訣です。上手にやれば、よく勝つことが出来ます。上手にやれば、です。もちろん運も大切ですが。トラブっても、きちんと事実を説明することで決着し、その後もそのホテルを愛用してくれる人は、上客なのです。事実を言い過ぎると、人間関係が悪くなる日本文化に慣れていると、欧米、とくにアメリカでは、ここの対応が難しいのです。事実を提示することで、自己主張する。そうです。そうすることで、

“Yes, it is fair!”

なのです。

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