宮永コンピテント英語塾　（第4回）

Think globally and act locally!
ボストンに行けば、そこにはボストンの英語文化

Ｍ男さんは、ＩＴ関連の大製造会社の課長さん、部下が3人います。「最後の体育会系」と自称するだけあって、エネルギッシュな40歳です。日本をほとんど出たことがないのに、英語はぺらぺらで、教えたこともあり、アジア系の友人がたくさんいます。欧米には出張で何回か行ったことがありますが、それ以外には、日本を出たことがないのです。本人のいうところでは、「体育会系は、日本を出たがらない」のだそうです。

それなのになぜか今回は、会社を離れて、自分の力でアメリカで、英語を学んでみたいと考えたのです。Ｍ男さんはわざと、日本人の多い西海岸を避け、東海岸を選びました。「本当のアメリカを知りたいから」とは、本人の意見です。期間は3ヶ月、場所はボストンです。

Ｍ男さんの武勇伝は、ボストンのあるハンバーガー店から、始まります。
カウンターにレジが4つ並んでいました。2番目のレジが空いたと思ったので、Ｍ男さんが行こうとすると、前に並んでいた女性にさえぎられました。

“Excuse me. I am in line..”

そこでその女性にレジを譲り、Ｍ男さん今度は1番目のレジに行って、注文しました。Ｍ男さんはとにかく謝っておきました。

“I am sorry..”

ところが相手の女性は、まったく無表情です。Ｍ男さんは重ねて言いました。

“I said sorry. I did not mean it..”
ごめんなさいね、って言っているんですよ。悪意はなかったんです。

ところが相手は、まったくの無表情で、取り合ってくれません。それで一言付け加えました。

“Why are you looking at me? What is your problem?.”
どうしてそんな顔をしているのですか。何かいけないことをしましたか。

でも多分相手の女性には、こんなふうに聞こえてしまっていたはずです。

そんな目つきで見ないでください。何が問題なんですか？

だからでしょう、相手は憤然として言うのです。

“Problem? What is your problem?.”
問題ですってぇ！あんたこそなんなのよ！

Ｍ男さんはすっかり、めんくらってしまいました。それでさらに言ってしまったのです。

“I know what you are thinking. But as I said, I didn’t mean it!.”
お気持ちは良く分かります。悪気は無かったのです。

でも多分相手の女性には、こんなふうに聞こえてしまっていたはずです。

あんたが、なに考えているか、分かっているよ。だからあやまっただろ！

こんな風に聞こえていれば、何度謝っても解決はしません。こんどこそ、相手は爆発します。

“You are crazy! You are not going to ruin my day!!.”
あんた、頭、大丈夫？やってらんないわよ！

Ｍ男さんは、そのまま相手の女性が、店を出て行ってしまったので、救われたような気になりました。でも二人は、決定的にすれ違っています。

こういうことは、いくらでもあることです。自分には状況が分かっている、と思うと、かえって相手に目が行かなくなるものです。それよりも、いままでの知識に頼らず、いつも新しい目で現実をみることにいたしましょう。現実は意外で、驚きに満ちています。

ボストンに行けば、そこには新しい英語文化があるのです。言語を話すという行為は、ローカルな作業です。けれども英語はもともと、グローバルな言語です。英語文化は広く、しかも多様です。だからこそ、言われるのです。

Think globally and act locally!