韓国語学習が日本を変える (第9回)
第9回:翻訳に挑戦する人が急増
ミレ韓国語学院
院長
前田 真彦 (まえだ ただひこ)
21年間中学校の国語教師をしていました。2010年にミレ韓国語学院を立ち上げ独立。日本人の強みと弱みを理解した独自の教育法「前田式」を確立し、大阪と東京で教室授業を実施中。通信添削や動画配信など、教室に通えない方のサポートにも力を入れています。
■ミレ韓国語学院HP:http://mire-k.jp/
(2018年2月1日掲載)
▲翻訳コンクールの課題図書
「冬のソナタ」の放映が2003年。このころから韓国語の学習を始めた人は、もう15年も学習を続けたことになります。韓流ブームが起きてしばらくしてから学習を始めたとしても、もう10年ぐらい学習を続けたことになります。
韓国に何度も行き、韓国人の友達もできたり、K-popにはまったり、紆余曲折を経ながら学習を続けてきた人たちが、中級から上級に差し掛かって来たのです。いえ、TOPIK(韓国語能力試験)6級(最上級)に合格したり、通訳ガイドに合格したりする人まで出てきています。
自主的に韓国語の勉強を始めた主婦たちの学習レベルが、入門初級レベルから、中上級レベルへとシフトしてきているのです。それにしたがい、学習者の要求が多様になり、文化交流も草の根レベルで盛んになってきています。
2018年1月15日に応募が締め切られた、クオン主宰の「翻訳コンクール」に、なんと212人もの応募があったそうです。韓国で市販されているごく普通の100ページ程度の小説(課題小説と任意小説合わせて)です。韓日翻訳に挑戦するレベルに達している人が、こんなにも多いとは、本当に驚異的です。
自主的に外国語の学習を始めるというだけでもすごいことなのに、真面目な日本の学習者のみなさんは、10年にわたり孜々営々と努力を積み重ね、その結果、翻訳を手掛けるレベルまで実力を高めてきたのです。これはすごいことです。他の言語(学校教育で行われている英語以外)では類を見ないことでしょうし、おそらく世界的に見てもこういう現象は珍しいのではないでしょうか。
さて、このまじめな愛すべき日本の韓国語学習者群が、さらに学習を続けると、今後どうなっていくのでしょうか? ちょっと予測してみましょう。
学習者群のレベルはさらに高くなり、韓国の本が相次いで翻訳出版されるようになり、韓国文化を紹介する多種多様な書籍が、日本社会に大量に浸透するようになるでしょう。また、K-popの影響で韓国語の学習を始めた現在の中高校生も、OLになり、学習レベルも一段と高まり、一般市民の交流が今の何十倍も盛んになるでしょう。日韓交流会の企画運営を担う人が、地方でも多数現れ、日本各地で韓国人がホームステイをしたりして、いたるところから韓国語が聞こえて来ます。日本人と韓国人が仲良く交流する、そんなことが当たり前の社会がもう目の前に来ています。
「韓国語学習が日本を変える」が、今こうして、じわじわと目に見える形となって表れてきています。
▲ミレ多読の会(2018年1月)で絵本多読の会(愛知県)の活動報告がオンライン上でありました。
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