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自宅で留学並みの中国語力を

第8回:留学でできる「有意味」な言語使用

株式会社Rungar
代表取締役

冨江 恭直

東京都出身。早稲田大学国際教養学部卒業。中国ビジネス8年(日本のゲーム、アニメ等コンテンツの中国展開に従事)、中国在住5年(上海、南京)の経験を活かし、「話せる、聞ける、ビジネスで使える」という確かな実感を重視した中国語学習のコーチング型スクールを運営しています。趣味は、中国各地の麺類を食べ歩くこと。

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(2022年11月28日掲載)

前回の記事では、留学とは、そもそも語学(言語学習)が目的ではなく、異文化での体験そのものがその本質なのではないか?という話をまとめました。さらに、語学という観点でも、「学習に向かわせる環境」があることは留学のメリットである、ということも書きました。

今回はもう一つ別の視点で、語学学習における留学のメリットを考えてみたいと思います。

そのキーワードは、「有意味な言語使用」です。

「有意味な言語使用」とは、要するに実際のリアルな状況の中で言語を使用することです。

それは、「いま、ここ」と関係のない場面を想像し、思い浮かべて言葉を話したり、聞いたりするのではなく、自分事として、目の前の状況に対応するために使うことです。

この有意味な言語使用と対極にあるのが、よく語学教室などで行われる単語帳や場面別フレーズ集を使った勉強や、さらにはロールプレイなどです。私は、ロールプレイを含めこのような架空の場面を想像して行う練習やトレーニングがあまり好きではなく、おすすめもしていません。できるだけ、作られたものではなく、実際の有意味な言語使用をベースに学んでいくのが良いと考えています。

読解でも、教科書を読むのではなく、中国語であれば、中国人が中国の書店で買って読むような本を使ったほうよいでしょう。(何を読むか、レベルは別途検討する必要がありますが)

留学で学習言語が日常的に使われている環境にいけば、学習者は嫌でも有意味な言語使用を沢山しなくてはいけなくなります。

カフェで「在这里吃?带走?(ここで食べるか、持ち帰りか)」など、聞かれたとして、それを日本にいながら教科書の場面として学ぶのと、上海(中国)のスタバで実際のお店で店員さんから聞かれるのでは、その音声への関心や集中度、発話への推測や、文脈の臨場感などが圧倒的に違います。

こういう環境にいれば、こういうときにはこう言えばいい、というのが自然と(理屈はわからなくても)習得できるようになります。子供が言語を学ぶ過程に近いかもしれません。状況の中で、意味を推測しながら言語に触れていくからです。

もちろん、一定のレベルでないとこのような留学の環境を生かせないでしょう。中国語を例に考えれば、基礎的なことは教科書で学ぶ必要があります。最初は文法や単語を教科書や参考書を使って頭で覚えていきますが、あるレベルまで来たら、それらを駆使して自分で有意味に使ってみることが上達への近道だと思います。

ここでいう「有意味に使う」というのは、目の前の状況に合わせて言ってみたいことを、文法と知っている単語を応用して、文として組み立てて、声に出してみるとか、あるいは、ある状況の中で、周りの人が言っていることを理解しようとする、というようなことです。

ただ、一つ注意点があります。話したり書いたりする場合、自分でオリジナルな文を作るというのは危険です。往々にして母語の発想にとらわれて、ネイティブが使わないような不自然な表現を作ってしまいがちです。例えば、「泣き止む」という日本語を中国語にしようと思って、「停(とまる)」と「哭(泣く)」を辞書で見つけて、「停哭」と言ってしまうと、意味は伝わるもののネイティブが違和感を持つ中国語になってしまいます。(泣き止むは「不哭了」)

なので、有意味な使用といっても、自分で文を作ってみるのもいいですが、まずは沢山読んだり聞いたりして、自然な表現に触れることをおすすめします。それにはドラマ鑑賞や読書(多読)が最適です。

以上、留学では、語学の上達で大切な有意味な言語使用が沢山できるという話をまとめました。実際、日本でも中国語や英語の無料コンテンツは沢山ありますし、ネイティブの方も場所によって沢山いるでしょうから、頑張れば国内でも似たような環境を作ることはできると思います。しかし、常に有意味な言語の使用を強制される海外の環境には及ばないでしょう。

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