読み切り![イスタンブール]~毎日留学ナビ編~ (第4回)
第4回:トルコ人の中へ(3)
フリーライター、通訳者、コーディネーター
松井 和花
天理大学外国語学部英米学科卒業後、更に通信教育を経て小学校教員免許を取得、奈良県内の小学校で教鞭をとる。たまたま休暇で訪れたトルコに深く魅せられ、唐突に移住を決意。 ゼロからスタートしたトルコ語学習に始まったサバイバル生活も、今年で17年目突入。現在、イスタンブールにて『執筆で、トルコと日本を繋ぐ』をテーマに、フリーライターとして活動。トルコ人の夫と小学生の息子とのドタバタ3人暮らしの毎日。
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(2015年2月15日掲載)
▲カッパドキア奇岩群の中で一際目を引く、“ラクダ岩”の前で。
ド短期ホームステイを経て、いよいよ念願の一人暮らしが始まりました。とはいえトルコ語は勿論、当地住宅事情にも疎かったあの頃。縁あって引っ越した先は空港近辺の街で、今思えばなんでわざわざあそこに…とも思いますが、その過程がなければまた今の私もなかった、と考えることにしてお話を続けましょう。
近所に外国人は皆無で、当時はトルコの地方から出てきた中・低所得層のブルーワーカー達が多く住む、それはそれはディープな街でした。
住民は概ね保守的で、女性は中学生ぐらいから頭にスカーフを被るのが主流。頭にふわっと巻く→髪をターバンで完全に隠してから更にスカーフを重ねる→顔だけ出した真っ黒な全身繋ぎ服を頭からすっぽり被る、と年齢・宗派や地方色に依る出で立ちに身を包んだトルコ女性の中で、異教徒で凹凸のない薄い顔の私は嫌でも目立ち、常に好奇の目に晒されました。
街を歩けば、
『チン(中国人)!ジャポン(日本人)!』
『チャンチンチョン!!』
(注:中国語を真似していると思われる)
家族連れに遭遇すれば、親自ら私を指差して、
『ホレ見てごらん、日本人だよ!』
と大声で子どもに教える始末。あーあ…。
『そうだよ日本人だよ、だから何さ!いちいち声に出して言うなぁっ!!』(注:心の声)
と憤慨しっ放しで、外出するのがとても億劫でした。
言われる方は不愉快極まりないのですが、意外にもトルコ人は日本人が大好きで、これ概ね好意と関心の表れだったようです。ジャポンというだけで、過剰なほど手放しで歓迎されます。こんなに遠い国同士なのに、不思議ですね。
『おお!おまえは日本人か。よく来たな!あのヒロシマの原爆で全てを失ったどん底からよくも這い上がり、見事に経済成長を遂げて、今では最先端の技術を持つ大国になった。なんて立派なんだ!人々は勤勉で礼儀正しく、いつもニコニコして温厚だ。だから俺は日本人が大好きなのだ!!』
これに類似する内容は、当時からよく耳にしたセリフでした。
外国人として暮らす国で、ローカルから無条件で好意的に見られるというのは有難いことです。他に、こんな国はないのでは?
ただ、好いてくれるのは嬉しいのですが、チラッと見るのではなく、無遠慮にジーーーッと凝視されるので、こっちが向こうの視線に耐えられず目を逸らすのが常でした。
とはいえ、最近では相手が目を逸らすぐらいに睨み返せるようになり、私も随分成長したものです。
引っ越して2ヶ月目、少しここでの生活に慣れてきた頃でした。日本帰省から戻った翌日に、日本から持参した現金二千ドルがアパートから忽然と消えたのです。
=続く=
▲マルマラ海に浮かぶプリンセス諸島で一番大きい島、“ビュユック・アダ”にてレンタサイクル。
▲かつてオリエント急行の終着駅であった、イスタンブールの“シルケジ駅”構内にて。
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