読み切り![イスタンブール]~毎日留学ナビ編~ (第8回)
第8回:初めての“とらばーゆ”
フリーライター、通訳者、コーディネーター
松井 和花
天理大学外国語学部英米学科卒業後、更に通信教育を経て小学校教員免許を取得、奈良県内の小学校で教鞭をとる。たまたま休暇で訪れたトルコに深く魅せられ、唐突に移住を決意。 ゼロからスタートしたトルコ語学習に始まったサバイバル生活も、今年で17年目突入。現在、イスタンブールにて『執筆で、トルコと日本を繋ぐ』をテーマに、フリーライターとして活動。トルコ人の夫と小学生の息子とのドタバタ3人暮らしの毎日。
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(2015年7月15日掲載)
▲水にくぐらせた煙をパイプで吸い込む、なんとも風情ある水タバコ。2時間は吸える。りんご味やカプチーノ味なんてのも。
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また今日もオフィスで電話が鳴っています。支店長秘書の私の電話は会社の代表番号でもあり、しょっちゅう色んな国から電話が掛かってきます。
私:「ハ、ハイ、こ、こちら○X商事です」
相手:「△□◎\=^&♪$#?!」
私:「……。」
自分で作った電話応対の例文を羅列した紙を見ながら、必死に聞き取ろうとするのですが、特にトルコ語での電話は全くのお手上げ状態。何を言っているのか、名前も社名も皆目分からず、うろたえて電話を切ってしまったことも一度や二度ではありませんでした。
しどろもどろの電話応対に始まり、うっかりミス続きだった、上司のスケジュール管理、全くの素人だったパソコン業務など(この時から劇的に視力が低下!!)、トルコ語が中途半端なままスタートした“ひよっ子”会社員生活は、それは前途多難なものでした。
しかし、各部署の日本人駐在員マネージャー始め、トルコ人現地スタッフにも若手が多く、出張者の出入りも多い賑やかな職場でした。私自身も若く、ある意味怖いもの知らずだったので、失敗も含め、現場に馴染むのにそう時間はかかりませんでした。
有名大企業のイスタンブール支店です、当然そこで働くスタッフも一流大学を出たエリート揃い(私を除いて)。トルコに来てから、田舎出身(私を含む)、素朴で義理人情に厚くておせっかい、あまり学歴のない低所得層の人々に囲まれることが多かったせいか、ホワイトカラー集団との出会いは強烈でした。ここで、私の中のトルコ人イメージが一旦ガラガラと崩れ去ります。
大都会に住むエリートの特徴なんでしょうか、他人にあまり干渉せず、どこかクール、そしてそのプライドの高さときたら。鼻持ちならぬ…、いえいえ、気難しい彼らとどう付き合えばいいのかよく戸惑いました。
「あれ?こんなんだったっけ、トルコ人って…。」
すっかりトルコ人のことが分かっていたつもりだったけれど、なかなか一筋縄では行きません。自分が外国人であることを思い知らされる瞬間です。
入社して2年が経ち、刺激的だった毎日はいつしかルーティーン化し、物足りない日々が過ぎていきました。業務で使ううちに上達したトルコ語を使って、もっと違う分野で働いてみたいという願望を抱き悶々としていた頃のこと。
勤めていた企業の系列会社がイスタンブールに設立されることになり、トルコ語の出来る日本人スタッフを探しているという情報が!日本のソフトコンテンツをトルコで展開するという、何とも興味をそそられる事業内容でした。
社長になる方とたまたま社内でお会いする機会があり、目前のチャンスにゾクゾクしながら思わずこう尋ねていました。
「私とか、いかがですか?!」
=続く=
【注】 「とらばーゆ」は、(特に女性の)転職の意。転職雑誌名に由来する言葉ですが、語源はフランス語のtravail(仕事)。
▲ネムルート山はトルコで一度は訪れたい、お勧めのスポットのひとつ。ここで見た夕日は、生涯忘れられない。
▲2002年、日韓共同開催によるワールドカップで、トルコは世界第3位の快挙を果たす。なかでも日本メディアに注目されたのは、イルハン・マンスズ選手。転職後の会社で請け負ったコーディネートのお仕事で、イルハン王子とのインタビューを敢行。
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