読み切り![イスタンブール]~毎日留学ナビ編~ (第11回)
第11回:母ちゃん、頑張ります。
フリーライター、通訳者、コーディネーター
松井 和花
天理大学外国語学部英米学科卒業後、更に通信教育を経て小学校教員免許を取得、奈良県内の小学校で教鞭をとる。たまたま休暇で訪れたトルコに深く魅せられ、唐突に移住を決意。 ゼロからスタートしたトルコ語学習に始まったサバイバル生活も、今年で17年目突入。現在、イスタンブールにて『執筆で、トルコと日本を繋ぐ』をテーマに、フリーライターとして活動。トルコ人の夫と小学生の息子とのドタバタ3人暮らしの毎日。
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(2015年11月15日掲載)
3年間の結婚生活を経て、有難いことに子どもを授かりました。
日本の両親もとても喜んでくれ、いよいよ私も親になるのだと、幸せな気持ちで毎日が過ぎて行きました。
そんな時、入院中だった父の悲報を知らされ、妊娠経過に問題があり飛行機に乗れなかった私は、父の葬儀にさえ参列出来ませんでした。
トルコに来て8年目、その時に初めて、
“海外に住むということは、親の最期を看取れないかもしれない”
事なんだと思い知らされました。
思えば、親元を離れた事がなかった甘えっ子の私が、唐突にトルコに住み始め、やがて仕事を得、家族が出来、私の人生の基盤がどんどんトルコで築かれていった事で、気がつけば日本は近くて遠い国になっていました。有事の時すぐに飛んでいけない自分の状況と、遥か遠い日本との距離を恨みました。
父を失った同年、私は息子を出産しました。今でも、息子は父の生まれ変わりだと思っています。
仕事は妊娠しても続けていたのですが、子宮頸管無力症と診断されて小さな手術を受け、一時期は自宅安静だった事もきっかけとなり、妊娠後期にはトルコで2社目に勤めた会社を退職しました。
息子が15か月の時、ある日系企業で求人があると声を掛けてもらい採用が決定、のんびりグータラ主婦だった私が、再び社会復帰するチャンスがやってきました。
前の会社を辞めてから、しばらく専業主婦と言うものを体験しましたが、元々家事が苦手だったせいか、そこに喜びも見出せないまま、不毛な作業にくさくさしていました。
一方子育ては24時間待ったなし。仕事で忙しかった夫はあまり育児参加するチャンスもなく、私と子どもの二人きりの生活がこのまま延々と続くように思われ、社会からはもう必要とされていない気がして、滅入る事もよくありました。
そんな時の仕事のオファー。ちょっと早いかもしれないとは思いましたが、
「もう一度外に出て働きたい!」
と、チャンスに飛びついた自分がいました。
出社1日目。久々のスーツ、きちんと化粧もしてオフィス仕様の私がタクシーから降りる時、運転手さんが、
「お仕事お疲れ様です!」
と声を掛けてくれ、ああ、そんな風に見えるんだ私、また働けるんだと思うと、胸が一杯になったことを今もよく覚えています。
=続く=
▲(タクシーで) あの運ちゃんの一言は、忘れない。ジーンと目頭が熱くなり、頑張ろう!って思えた。
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