株式会社WEIC 代表取締役 内山雄輝さんインタビュー

スペシャル・インタビュー

「中国留学するからには、現地で就職してみたい」という方は多いはず。 しかし急変する経済状況の下、中国で働く日本人の環境も転換期にあります。上海・北京・成都でIT事業や中国進出コンサルティングを手がける実業家 内山雄輝さんに、人、暮らし、仕事を含む上海の現状と、中国ビジネスへの想いを語っていただきました。

内山雄輝さん

プロフィール

株式会社WEIC 代表取締役
早大(上海)信息科技有限公司 董事長
MIJS 海外展開委員会 副委員長
中国成都市ソフトウェア業界協会 顧問
上海智生道人材諮問有限公司 特邀顧問

静岡県出身。早稲田大学第一文学部中国語・中国文学専修卒業後、早稲田大学発ベンチャー企業(株)WEICを設立。中国語eラーニングシステムを開発提供。2008年に上海現地法人を設立し、中国人向け日本語eラーニングの提供及び中国進出コンサルティング事業を展開。MIJSコンソーシアム海外展開委員会副委員長、日本人初の中国成都市ソフトウェア業界協会顧問を務め、事業家と日中IT業界コネクターの両面で活躍中。
2004年の卒業直後、WEICの起ち上げ時に初めて中国へ。その後月1回ペースで中国へ行く中、実地で中国語を磨いた。

20代後半からの留学なら、上海がお勧め

■内山さんは上海・北京・成都で仕事をされてますが、上海人の特色はどんな点でしょうか?

上海と北京と成都を行き来する中で感じるのは、上海人はあっさりしてるということですね。コラムでも書きましたが、上海は商業の都市なので非常に合理的です。あと興味深いのは、上海の場合、年代によって日本人に対するイメージが変わるように感じます。1980年以前生まれの人だと、やはり日本人に対して少し警戒心を持っている。80~83年生まれだと反応が分かれ、それ以降の人はもう日本大好き。そこは親の影響などがあるようですが。
だから親から日本人についてあまりよいイメージを植え付けられていない同年代とコミュニケーションすると、相手が日本人となるともう用件だけしか話さない人もいます。特に中国人の独身の若い女性(20代~30代前半)は、日本人の貞操に関してあまりいいイメージを持っていないようですから、お互い日本人との付き合い方に関して注意を喚起しあうなど、日本人へは人見知りする人も多いようです。私達は中国人の若い女性と仕事をしたり、話をするときは気を使ってあげなければいけません。
■人見知りのガードをはずすコツはありますか?

やはり、言語ができるかできないかですよね。ちゃんとユーモラスに対応できたり、相手が何を考えているのかを感じられるかが、重要だと思います。また、特に男性の場合だと、日本人となるとビジネスの視点から見てきます。最初に会ったときに、「この日本人は自分たちにどれくらいの利益をもたらしてくれるだろう」という部分を見てくるんですね。その上で、ビジネスとして成り立って、友人としてもやっていけるから、じゃあもっと親しく家族的にやっていこうとなってくる。いったん家族を交えて付き合うと、たとえビジネスとしてうまくいかなくても、もう家庭的な関係になっていきますからね。
■上海に留学したいけど上海語なのが気になる、という方もいますが・・・

基本的に中国人と日本人の考え方は99%違いますが、上海という街は、日本と近い部分もあります。考え方は別にして、生活習慣や食べ物も共感できるところもあり。それに、実は言葉も似てるんですよ。上海語は声調があまり無いんです。日本語のように抑揚無くべらべらと話すような感じです。だから日本人はけっこう上海語が覚えやすいし、逆に上海人も結構日本語が覚えやすいと聞いています。中国人は自分の故郷の言語を大事にしてるから、多少話せると面白がられるけど、マスターするのはほぼ無理ですね。「普通話」をしっかりマスターすることが求められているし、それで十分だと思います。
■留学するなら北京と上海、個人的にはどちらを選びますか?

実はこの前、ぼくの友達が会社を辞めて中国へ留学したんですよ。復旦大学(上海)に行くか、北京師範大学に行くか迷っていた。でも、ある程度年齢のいった人、20代後半くらいの人が留学するなら、僕は上海がいいと思っています。
やっぱり何のために留学するかというと、基本は人脈を作るためだと思うんです。そういった意味で上海のほうが、ビジネスマンや節度のある人たち、グローバルな感覚のある人たちとの人脈ができる。個人的なイメージですが、北京のほうに留学に行くと学問をしっかりやろうという人が多い、また、韓国の留学生は北京に行くことが多く、韓国人の友達は増えるかもしれない。それはいいのか悪いのかよくわかりませんが・・。
だから一年くらいしか留学せず、学問を究めるということではなく、中国語を勉強し将来につながる何かを得たいという程度なら、上海に行ってグローバルと中国が融合した文化を経験し、人脈をしっかり作り将来に役立てる方がいいのではないかと僕は思います

日本人は期待されていない」という現実からスタートを

■留学後に現地での就職を希望する人も多いですが、就職のチャンスは依然多いのですか?

僕は中国も愛してるし、日本も愛してます。だから敢えて言いたいのは「あまり幻想を抱いてほしくない」ということです。正直言って今の中国は日本人にとって、容易にユートピアにはなりません。日本人はいま中国人から期待されていない。その現実をちゃんと見ることから始めないといけません。
というのは、中国はいま日本離れをしつつあり、代わってインドやアメリカ、アフリカを対外的に重視するようになっています。そして今後は、中国=市場です。市場を開拓するには日本人だと難しいので、中国人を求めるケースが増えてきているんです。日本人はグローバル的にやっていけないと思われてるし、中国人の管理もできないし、営業もできないと言われています。まあ、技術を持ってる人、例えば生産管理を何十年もやってきたとか、そういう人は違いますけどね。
そうなると日本人の就職先は、日系企業に絞られてきます。しかし日系企業も新卒現地採用だと給与水準が現地と変わらず、新卒で3000元(約4万円)からなんていうのも聞いたことがあります。(ほぼ、現地新卒採用はないと思いますが・・)多くても5000元からスタートすることになります。日本語学校の教師だと、2000元という話も聞いたことがあります。日本である程度キャリアを積んだ20代後半でも6000元(約8万円)、良いと言われる仕事で1万元でしょうか。新卒3000元程度の日本人が現地中国系企業に就職したいと言っても、現地はそんな人いらないと言われ採用されないでしょう。その代わり中国人を採用する。これが現実です。日本人を採用するなら中国人のほうが同じ給与水準でも優秀でやる気のある人材が最近は採用できるというのは、日本企業の考え方になっています。さらに現地採用で新卒だと戦力にならないから、中国人を採用したほうがいいという見方も少なくない。
だから、ちゃんと自分のキャリアプランを考えて、留学した後に自分は何をやりたいのかを見据えていくことが大事です。単に「日本が合わないから中国で就職でもしよう」と思っている人は、必ず失敗します。本気でやりたい人は、どんどんチャレンジして、どんどん失敗してください。

(写真は2010年4月22日開催「グローバルキャリアセミナー」では、WEICの社員の方も登場。中国ビジネスの課題と展望について、本音で語っていただいた。セミナーレポートはこちら

■現地での就職は勧めない、と・・・。

そうですね。目的のない安易な気持ちでの就職は慎重に考えるべきです。ただ、留学はどんどんするべきだと思います。しっかり中国語を学び、中国の文化――中国人はどういう人たちか、どういう経済状況で、どういう人たちで成り立っているのか、それを肌身で感じてくることは大切だと思います。
その上で留学後は日本に戻ってきて就職をして、中国の開拓をやれるように実績を積んだ後で再度中国に行ったほうがいい、と僕は思います。優秀な人材がちゃんと経験を積んでいったほうが、日本のためにもなりますし。
ベンチャー企業は別にして、大手企業へ入りたい人は、大学在学中に休学して5、6年かかって卒業しても、新卒で採用されて頑張ったほうがチャンスはあると思います。日本の大手企業の場合、やはり新卒でないと昇進していけない。中途で入っても、高い給料を払って出張させてくれませんから。
 

■上海に特徴的な就職事情というのはありますか?

上海の特色といえば、日本企業が多いということでしょうか。ただ、ぼくが顧問をしている人材のヘッドハンティング会社では、最近は日本企業の就職案件よりも、欧米系、中華系企業の案件が増えているという話です。
求められる語学力でいえば、日本企業は今まで日本語が公用語という企業が多かったですが、最近は中国語もという流れになってますね。グローバル企業に行きたいなら、中国語も必要だけど、英語ができることが大前提ですね。

上海は、世界の中心にいることを実感できる街

■連載コラムの中で、上海の夜景の写真に「僕が憧れ、僕を勇気づけた夜景を皆さんにもおすそ分けします」と書かれてましたが、具体的な思い出があるのでしょうか?

あれは森ビルからとった写真ですよ。会社は紆余曲折があり、上ったり下がったりがあるので、下がってるときは「やめようかな」と思ったりもします。そんな時にあんな風に上から上海を見下ろしていると、「もう少しやってみようかな」と。もうちょっとこの輝かしい舞台でやりたいな、と思えてきます。やっぱり上海は「世界の中心にいられる」と感じられるところが魅力なんです。
 

■中国ビジネスを展開する上で、これからの目標はありますか?

僕の場合、日本と中国の政治経済関係をもっと民間レベルから良くしていきたいという夢があるんです。今回成都では、中国国際ソフトウェア博覧会が開かれ、上場企業も含めた17社をお連れし、経産省の役人にも参加していただきました※。政治レベルだと面子もあるから、両国とも気軽に今後のIT政策について対話するのはなかなか難しい。だから民間レベルから相互の発展、WINWINの関係を作っていく、それが、政治や政府を動かし、全てがよい方向にまわるように調整する手助けをしたいというのが自分の中での課題というかライフワークですね。

※中国国際ソフトウェア博覧会のレポートはこちら
  BCN Bizlineニュース 2010.4.19


内山さんのコラムも好評連載中
「勝ち組の法則~中国で稼げ!ガラパゴスJapanからの脱却~」

番外 「上海のおすすめスポットを教えてください!」

<内山さんのおすすめスポット>

「上海って実は、見るためのスポットはそんなに無いんですよ。新天地とか豫園が普通のコースですけど、僕が好きなのは、外灘じゃなくて、その反対側、濱江大道の夜景(左の写真)。テレビ塔側から川を挟んで外灘を見るという場所が結構おすすめですよ。
また、僕は食べるのが趣味なので、汚いところで良ければ、雲南路での食事がおすすめ。すごく安くて24時間営業。蛇とかも食べられます。美味しいものを食べ慣れてる人を連れて行っても、皆うまいと言ってますね。」

<株式会社WEICの上海事業所 総経理のおすすめスポット>

1. 外灘  濱江大道
上海と言えば、テレビ塔や上海ワールドフィナンシャルセンター(いわゆる上海ヒルズ)のある黄浦江の東側景色や、その川向かいで租界時代の建物がならぶ外灘の景色が写真や映像になることが多いですね。ここの夜景はやはり素晴らしい。急速に発展する現代の上海と歴史ある上海をいっぺんに堪能できるスポットです。

2. 田子坊 (泰康路×思南路)
上海人にもあまり知られていない上海のオシャレスポット。デート向き。
上海の昔の住宅を利用し、南北・東西に延びた細く迷路のような通りに、現代アートの展示や各国理のレストラン・バー、中国・各国雑貨や衣類のショップなどがあります。ちょっと小道にそれると実際に今も人が住んでいて、洗濯物が干されていたりします。異世界に紛れ込んだようなエキゾチックな場所です。

3. 近郊の水郷 (朱家角、周荘、同里など)
ちょっと上海から離れますが、上海から日帰りできる範囲にたくさんの水郷と呼ばれる場所があります。朱家角、周荘、同里などで、街中にクリークのある田舎の風景が楽しめます。上海体育館旅行センターなどからバスで1時間程度ですが、市中心とは全く違うのんびりした風景や自然があり、上海と併せて訪れてほしいスポットです。でも祝日は観光客であふれかえるので、ご注意を!
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