健康コラム (第5回)
第五回:「百薬の長」お酒を楽しく飲むために
中国への赴任、留学の準備に必要用な渡航者健診を行っている医療法人社団 日中友好医院によるコラム。中国古来の健康方法などを紹介。
(2007年12月1日掲載)
12月に入り、これから忘年会や各種会合でお酒を飲む機会が増えるのではないでしょうか。
お酒は「百薬の長」と中国で呼ばれている事は皆様もご存知の通りですが、中国で、500年頃に漢方大全の一つである『神農本草経集注』を編集した陶弘景は、「酒は有毒であるが、薬の勢いをつけ百邪や悪毒の気を殺す」と書していて、お酒は基本的には「有毒」としています。但し、それを適量用いた時に初めて最良の薬となるというのです。
また、『食療本草』には、お酒は「血脈を通じ、胃腸を厚くし、皮膚を潤し、湿気を散じ、憂いを消し、怒りを発し、言を述べ、意を暢(の)べる」と記されていて、ここでは、お酒はかなり肯定的に捉えられています。
このように古代から盛んに研究がされてきたお酒ですが、近代の中国では、宴会となれば「白酒」といわれるリキュール(約50度前後、中には60度以上のものも)が主に乾杯用に使われ、ショットグラスになみなみと注がれた「白酒」を何だかんだと理由を付けて乾杯するのが慣わしのようになっています。ちなみに日本でよく飲まれる「紹興酒」は南方のお酒とされ、北京を含む北方ではあまり飲まれないお酒です。
乾杯も5杯、6杯と進むにつれ、宴も賑やかになり、まさしく『食療本草』に記されたお酒の効果が充分に見られるようになるのですが、ここで納められるかどうかが「薬」にするのか「毒」になるのかの境目と言えるでしょう。
お酒は楽しく飲んでこそ、その本領である「陽気」を取り入れる事ができるのです。お酒を飲むのであれば、是非楽しく飲める範囲に納めて年末の健康維持に役立てましょう。
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