グローバルキャリア塾 連載コラム

海外で自分の声を見つけるまで ~Finding my voice through living abroad~

第11回:Meet them where they are

米国NPO法人iLEAP(アイリープ)
マネージングディレクター

エリクセン恵(けい)

個人が持つ内面の豊かさを社会への変化に繋げることがミッション。リーダーシップ教育が専門のiLEAPをはじめ、日本とアメリカの人材育成分野で約20年間、個人の成長を醸成する環境づくりに取り組んできた。iLEAPでは組織運営、パートナーシップ構築、ファシリテーションを行う。バーモント州の大学院SITで国際教育修士号取得。東京の多摩地域で育ち、現在はアメリカのシアトル在住。一児の母。

米国NPO法人iLEAP(アイリープ)

(2022年4月22日掲載)

つい最近、小学校から帰ってきた娘が悲しいことがあったの、と言い、そして「ママ、数字のやつやって。」と言ってきました。この「数字のやつ」とは、数字を使って状態や感情をより明確に理解する質問のこと。私は体調について聞くときに、「1から5の数字でいうと、今日はどのくらい元気?」「お腹の痛みは、1から5のどのくらい?」というように使っています。

その日、私は「5はすごく悲しくて、ご飯も食べないでずーっと泣きたいくらいで、4は悲しいけど、ほかの楽しいことやってたらすこし忘れられそうなくらいで・・・」と続けました。そうすると横で聞いていた子供が言葉を足しながら、最後には自分で2を説明して選び、「じゃあ、その”悲しい”はどうしたらいいかな」と、二人で落ち着いて話すことが出来ました。

使う言葉は同じでも、私の思う「悲しい」と娘の感じている「悲しい」は、その度合いも、言葉に含まれる意味合いも違うかもしれない。その違いを知るためのステップを踏んで、まず同じ定義の上に立つことで、二人の関係性がまた少し深くなったような気がしました。

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同じことを話しているように思っていても、相手が指していることと自分が考えていることが違っていると、あとになって誤解が生じたり、理解が深まらないことがあります。だからこそ、最初の段階でずれを少なくすることは大事だなと思っています。

例えば、iLEAPではリーダーシップについて話すことが多いのですが、リーダーシップという言葉の解釈や、そこにまつわる感情、経験は人それぞれ。そのため、話に深く入る前に、まずはその場の参加者と一緒に「リーダーシップをこういう風に捉えています」という定義づけをしていきます。そうすると対話を進めやすくなり、例え後になってずれが生じても立ち返るところがある。

効果的なリーダーシップを発揮するためには、Meet them where they are(直訳:相手がいる場所で会う)が大事とよく言います。つまり、リーダーとして自分の経験や価値観、ヴィジョンなどを話す前に、相手が持つ経験や背景、価値観などを理解することが必要不可欠ということ。そうすることで、全員が同じ場所に立つことができ、そこから一緒に動ける。それに、何よりもお互いの繋がりを深めることができる。

イメージ

私が時々聞くアメリカのベストセラー作家兼活動家、グレノン・ドイルのポッドキャスト”We can do hard things”では、毎回最初にトピックとなる言葉の定義づけをしています。誰もが当たり前に同じことを指していると思うような言葉、例えば「家族」「友情」「幸せ」「目的」「バウンダリー」なども、改めてその場で定義づけをすることで、一方通行ではないコミュニケーションの土台が出来る。

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娘の「悲しさ」に、私の今までの経験から想像し描いた「悲しさ」をすぐに結びつけて、話を進めることももちろん可能です。けれど、今回Meet them where they areの時間をとることで、安心して話が進められるようになる基盤ができ、結果としてお互いの信頼形成に繋がっていく実感ができている今、ほかの場所でもこのまま意識しながら過ごしていきたいと思っています。

(次回につづく)

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