グローバルキャリア塾 連載コラム

自宅で留学並みの中国語力を

第9回:AI時代の中国語学習の意義を再考①:エンタメとしての語学

株式会社Rungar
代表取締役

冨江 恭直

東京都北区出身。中国ビジネス10年(日本のゲーム、アニメ等コンテンツの中国展開に従事)、中国在住5年(上海、南京)の経験を活かし実践的な中国語学習のサポートいたします。2016年語学の道に転身。大学院で第二言語習得、言語、哲学の研究を行う。趣味は中国各地の麺類食べ歩き。テニス、ラグビー等スポーツ全般。新HSK6級。復旦大学短期留学(2007年)。早稲田大学国際教養学部卒業。The Australian National University修士号、早稲田大学国際コミュニケーション研究科修士課程修了。

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(2025年9月8日掲載)

まだ残る“実践”の価値 & 実践だけが語学じゃない!エンタメとしての中国語学習

1.AI時代に中国語を学ぶメリット

AI翻訳の精度は格段に進化しました。今や「わざわざ自分で話せるようになる必要があるのか?」と思う人もいるでしょう。
しかし実際に学び、使ってみると――AIでは代えられない大きな価値が見えてきます。

ここでは、AIを介さずに自分自身が中国語を話し、聞くことのメリットを考えてみましょう。

① 即時性と自然さ――「間」の力

AIを介せばどうしても「発話 → 処理 → 出力」のわずかな遅れが生じます。ゼロにはなりません。
 一方、自分で話せればその場で即座に反応でき、会話のテンポや自然さを保てます。

雑談や交渉では、この「間」の取り方や即答が信頼感に直結します。漫才で0.1秒の間が命と言われるように、日常会話でも大切な要素です。

→ リズム良くやりとりできると、その場の空気が一気に温まります。

② ニュアンス・感情・言葉遊び

AIは意味を正確に伝えられても、感情やニュアンス、言葉遊びまでは再現が難しいものです。

声のトーンや表現の選び方ひとつで、相手に伝わる温かさや誠意は変わります。
韻を踏む、ダジャレを言う――こうした“遊び”は原理的に翻訳不可能。

例:相手を励ますとき

  • AI通訳:「大丈夫だよ」=「没关系」
  • 自分の言葉:「别担心,我支持你!(心配しないで、僕が応援してるよ!)」

感情までダイレクトに届くのは、やはり“自分の声”です。

③ 信頼関係の構築

相手の母語で話すだけで「努力してくれている」と伝わり、距離はぐっと縮まります。

例:ビジネスの場

  • 通訳を介す → 「本当に理解しているのか?」と不安が残る。
  • 自分の言葉:「别担心,我支持你!(心配しないで、僕が応援してるよ!)」

「この人は中国語を学んでいる=信頼できる」と、評価が一段上がります。

④ AIでは拾えない“行間”

中国語は遠回しな表現や文化的ニュアンスが豊かです。
直接聞き取れることで、言外の意味や皮肉に気づけます。

例:同僚の冗談

「这个项目不太容易啊。(このプロジェクトは簡単じゃないね)」

単なる「難しい」ではなく、声色や間から「不満」や「やりたくない気持ち」を読み取れる。
AI翻訳なら「難しい」としか出ません。

⑤ 自分の成長と可能性

言語習得は単なるツールではなく、思考や世界の見方を広げます。
そもそも単語は一対一で対応しているわけではなく、世界の切り取り方そのものが言語ごとに異なるのです。

例:旅行中の出会い

台湾の夜市で隣の人に
「你常来这里吗?(よくここに来るんですか?)」と声をかける。

そこからおすすめ料理を教えてもらい、友達になれる。
AIを介せば“観光客”としての距離が残りますが、自分で話せば世界はぐっと広がります。

⑥ 確信を持てるか

通訳やAI翻訳を介すると、特に ビジネス交渉や深い人間関係に関わる会話 で、どうしても一抹の不安が残ります。

「本当に相手はそう言ったのか?」
「誤作動ではないか?」
「どんなニュアンスで伝えているのか?」

こうした疑念は、通訳を通す限り完全には消えません。
一方で、自分の耳で聞き取り、自分の言葉で理解できれば、その場で確信を持って判断できます。

特に大事な商談や心のこもったやりとりでは、この“確信”が大きな安心感と信頼関係につながります。

2.実践しなくても楽しい!エンタメとしての語学

私は長く「語学の目的は実践だ」と思ってきました。
――ドラマを中国語で観る、友人と話す、ビジネスで交渉する。

けれど実際には、「勉強そのものを楽しむ」学習者も多いのです。

語学はオリンピック競技のようなもの。
100m走は車に超えられましたが、人類は「人間としてどこまで速く走れるか」を追い続けます。
語学も同じで、実践だけがゴールではありません。

  • 中国語検定1級、HSK2.0の6級、HSK3.0の9級などで高得点、満点を目指す
  • どんな文章でも翻訳・通訳できるようになる

こうした実践ではない「能力を磨く楽しみ方」も立派な語学です。

語学の魅力は“実践”にとどまりません。
知識を積み上げること自体が楽しい。

  • 昨日読めなかった文が今日はスラスラ理解できる
    →  小さな達成感はゲームのレベルアップのよう。
  • 発音規則や漢字の成り立ち、成語の背景を知る
    → 文化を解き明かす“知的パズル”に。

語学は 「実践」+「知的エンタメ」
この二つの側面があるからこそ、AI時代でも輝きを失うことはないでしょう。

まとめ

AI翻訳がどれほど進化しても、

  • 自分の言葉で話す価値
  • 実践を越えた学習の楽しさ

この二つは残り続けます。
だからこそ、中国語を学ぶ意味はこれからますます大きくなっていきます。

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