グローバルキャリア塾 連載コラム

日本人ママとキューウィー義父さん (第20回)

第20回:エヴァの誕生

エバコナ EVAKONA
学校長

マクリーンえり子

1950年、東京生まれ。大学卒業後に1年間イギリスに滞在、帰国後は海事広報協会の旬刊紙「海上の友」記者。結婚して3人の子をもうけるが、1989年に母子4人でニュージーランド(NZ)に渡り、その後NZ人と再婚。1990年から地元の公立高校で日本語教師として教える。2001年に退職し、高校に隣接した場所で、NZの大学や高校に留学を希望する生徒たちのための準備校・補習校として語学学校EVAKONA(エバコナ)を開校する。2008年8月には共同通信社発信、日本全国34紙で掲載中の「日本遠望」でその教育活動が紹介された。ニュージーランドから電話、スカイプでの無料教育相談も受けている。

エバコナ EVAKONA

(2011年7月15日掲載)

2001年に私は10年以上勤めた高校の日本語教師の職をやめ、その高校に隣接する小さな木造の家を購入してエヴァ(EVA)という学校を始めた。その家は寝室が三つある典型的なニュージーランドのファミリーホームだ。裏庭には木造の車庫があり、アボカドの木、クリスマスプラムの木、りんごの木、フィジョア木が植わっていた。

義父さんは家具や内装のプロなので、早速3つの寝室を教室に直し、教室に必要な机やホワイトボードを作って備え、居間をオフィス兼受付に改造してコンピューターデスクをその空間に合わせて作ってくれた。そして風呂場の風呂桶を取り除いて先生方の資料室を作ると、これで何とか校舎らしきものができあがった。

学校を始める決心をしてからの私の生活は多忙だった。家を見つけ、家の住人と交渉して売ってもらい、銀行に掛け合ってローンを組み、その家に隣接する10軒の住民から学校活動をしてもいいというサインをもらい、それをもって役所から営業許可をもらい、学校として文部省に登録するべく膨大な資料を準備して提出し、学校の宣伝と営業用の資料を作り、そしてついに生徒の確保のために私は日本に飛び立った。

日本ではまずどこを訪ねるかが問題だった。それまでは口コミで毎年生徒が来ていたが、これからは口コミだけを頼るわけには行かない。最初の3年間、私はありとあらゆる紹介を訪ね日本中を歩き回った。それまで教室で教えることしかしたことが無く、営業の何たるかも知らず、自分の体験と海外教育への信念と熱意だけを武器にしてたくさんの人と話をした。

日本で暗中模索しながら生徒の勧誘に当たる私に義父さんは定期的に電話を入れてくれた。そしてくじけそうになる私に具体的な目標を示して励ましてくれた。例えば「帰るまでに少なくとももう一人生徒を見つけろ」というように。面白いことに目標が決まると割りと動きやすかった。そしていつも必ず目標を達するので自分でも不思議だった。とはいってもそれから始まった私のビジネス修行の旅は奥が深く、今も続いている。

今では世界の他の国からも生徒を受け入れているが、私の学校は当初、ニュージーランドの高校や大学入学を目指す日本の若者たちのための入学準備校、補習校としてスタートした。というのは長年ニュージーランドの高校で外国からの私費留学生の世話に携わっていて、どういうわけか日本人の留学生が一番言葉の障害が大きく、また異文化への順応性に欠けることを痛感したからだ。

この言葉に関しては右脳教育の権威の故七田眞先生に「日本語の音域のヘルツと英語の音域のヘルツがまったくかみ合わないので日本人には英語を聞く耳が育っていない」とお教えいただき納得が行った。確かに英語には日本語に無い音がたくさんある。

そして近年、日本でますます大きな問題となっているニート、引きこもり、登校拒否の問題はニュージーランドで留学生を引き受ける私には大きな課題だ。日本を飛び出す子供たちの多くがこれを経験していて、この10年、日本の学校教育、家庭教育が岐路に立っていることを思い知らされてきた。

私が私の学校を通して目指しているのは、一人でも多くの日本の若者が本来の自分らしさを取り戻し、自分の好きなことを見つけること。人間にとって好きなことを追求することは喜びであり、そこからスタートしてゆくゆくはそれぞれの道のプロが生まれる。プロになれば社会に大きく貢献することは言うまでもない。その上、そのプロが英語というツールを持ち、国際理解を身につけていればこれ以上言うことは無い。

私の学校は2008年にエヴァコナ(EVAKONA)と改名した。エヴァという言葉には 「人間一人ひとりが幸せになることで、世の中全体が幸せになる」といった意味があるが、それにマオリ語で「学ぶ」という意味のアコナ(AKONA)を組み合わせた。今、日本の教育は揺れている。私は沢山の日本の子供たちにニュージーランドで個性の生きる教育を体験してもらい、自信を取り戻してほしいと願っている。

経営に関しては今だに呻吟することもあるけれど、私は10年前に義父さんに「自分らしいクリエイティブな人生を生きろ」と強く促されてこの学校を始めたことを今では本当によかったと思っている。

キウィー義父さん、心からありがとう!

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