韓国雑記-異文化の海を泳ぐ (第12回)
第12回:兄弟姉妹
NPO法人日韓コミュニケーション協会
理事長
木村 妙子
1998年ナレーター時代、韓国のスタジオで収録の為初渡韓し韓国に一目惚れ。以来仕事で日本と韓国を頻繁に行き来する事となる。1999年初頭から独学で韓国語を学び始め、同年8月休業して高麗大語学堂に短期留学。2004年KLPT(世界韓国語認証試験)日本開始の際設立された検定協会に入社。以後運営に奔走し2008年KLPTを引取りNPO法人日韓コミュニケーション協会設立。
(2011年9月1日掲載)
前回のコラムで、韓国では年の差がある場合友達とは言わず、兄弟姉妹として付き合うという事を書いたので、今回はこの事について少し触れてみようかと思う。
韓国は儒教がベースとなっている為、目上の方を敬う事が当然の事となっている。目上と目下では使う言葉が違うので、出会った相手の年齢というのは日本人が考える以上に重要となる。韓国人がまず年を聞いてくるのはそういう意味もある。
そして、相手の年が1歳でも上の場合、親しくなった際は「お兄ちゃん」・「お姉ちゃん」と呼び、どんなに親しい間柄でも友達とは言わないのである。また、この際の呼称は、実の兄弟を呼ぶ際に使う単語と同様である。言葉使いも、その弟や妹たちは、兄ちゃんや姉ちゃんに対しては敬語を使い、兄ちゃん姉ちゃん側は弟と妹に対してタメ語を使う。女性同士では年の差があまりない場合は、妹が姉ちゃんにタメ語を使っている場合もあるが、男性同士ではこういった例を見かけた事がないというのも興味深い現象である。
また、この「兄弟姉妹」を誰かに紹介する場合も、韓国では「●●さんです」ではなく、「●●兄さん・●●姉さんです」という言い方をする。前回結婚式に呼んでくれたKLPT委員会の元次長である新郎がご両親に私を紹介した場面を例に挙げてみると、新郎がご両親に対して、「お父さん、お母さん、日本から来てくださった妙子姉さんです」と言うとご両親は、「お目にかかれてうれしいです。遠い所をお越し頂きありがとうございます。」という流れとなり、日本語に直訳すると何だか面白い事になってしまう。
この韓国の兄弟姉妹システムを一言で説明するのは非常に難しい。私にも、特別親しく姉妹として付き合っている日本在住のネイティブ韓国人の「姉」がいるのだが、以前この「姉」が、ある申請をする際に韓国語の書類の翻訳をした事がある。役所への提出物だったので、書類の傍らに翻訳者として団体名と住所、氏名を入れて押印をした。書類を確認していた提出先の担当者から、「翻訳されたこの方とのご関係は?」と聞かれたその「姉」は、「妹です。」と答えたそうだ。
頭の上に?マークを一杯つけたような面持ちの担当者と私の「姉」の会話は以下の通りである。
担当者:「え?この妹さんは韓国人ですか?」
姉:「いいえ、日本人です。」
担当者:「日本に帰化されたのですか?」
姉:「いいえ、元々日本人です。」
担当者:「え?だって妹さんとおっしゃいましたよね?」
姉:「そうです。妹です。日本人の親しい妹です。」
担当者:「と、おっしゃられましても・・・ご主人、これは一体・・・。」
と、ここで同行していた「姉」の日本人のご主人が説明に入って、「知人」だと言った所、横から「姉」が知人ではないと反論。「知人と行ったら、親しい付き合いではない相手になってしまうじゃないか!」と訴えたそうだ。ご主人は次に友達のようなものと説明したが、「姉」は、友達ではない、韓国では妹と言うのだと力説。担当者は強引に納得させられたような形を取ったようである。
日本語で話す時は、「友達」と表現してしまえばいいのだが、私も時々、「韓国では・・・」等と言い出して、ややこしい説明をし始める事もある。何がキッカケでそうなるのかは、自分でも謎であり、現在解明中である。
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