グローバルキャリア塾 連載コラム

韓国雑記-異文化の海を泳ぐ (第2回)

第2回:力持ちのジェントルマンたち

NPO法人日韓コミュニケーション協会
理事長

木村 妙子

1998年ナレーター時代、韓国のスタジオで収録の為初渡韓し韓国に一目惚れ。以来仕事で日本と韓国を頻繁に行き来する事となる。1999年初頭から独学で韓国語を学び始め、同年8月休業して高麗大語学堂に短期留学。2004年KLPT(世界韓国語認証試験)日本開始の際設立された検定協会に入社。以後運営に奔走し2008年KLPTを引取りNPO法人日韓コミュニケーション協会設立。

(2010年10月15日掲載)

韓国では、女性がたくさんの荷物を持って歩いている姿を殆ど見かけない。一緒にいる男性が荷物を持つからである。道行くカップルに目を向けると、彼氏が彼女のバッグまで持ち、彼女は手ぶらで歩いているという姿もよく見受けられる。そしてこれが極々日常的な光景なのである。

このような表現だと、パートナーだから女性の荷物を持っているとも受け取れるが、実はそうではない。友人や兄弟であっても、傍らにいる女性に荷物を黙って持たせたままなどという事を、かの国の男性は絶対にしないのである。

例えば、わたしが兄弟付き合いをしている年下の韓国男子たちも、どこかに一緒に出かけた際は、わたしのバッグを当然のように持って移動する。つまり、特別な相手に特別にする事ではなく、彼らにとっては至極自然な行動なのである。そして更に、このジェントルマンぶりは、時と場合によって全く見知らぬ他人にも発揮されるのである。

わたしは大抵1人で渡韓をするので、10キロ近くある特大のスーツケースを自らの力で処理する事を覚悟しては日本を出発し、韓国まで向かう。だが、空の上辺りで首の後ろにある日韓スイッチが切り替わり、到着する頃にはその覚悟はすっかりどこかへいっている。何故覚悟が緩むのか。それはジェントルマンたちがそうさせるのである。

空港に到着してから宿までの道程では、リムジンを利用してもタクシーを利用しても、女性に荷物を持たせないという崩れる事のない姿勢には心から敬服してきたが、特筆すべきは地下鉄を利用した際のその姿である。

わたしの定宿は、バスより地下鉄の方が降りた後歩く距離が短い為、地下鉄を利用する事が比較的多いのだが、宿の最寄りの駅には、エレベーターもエスカレーターもないので、もし日本で同じ状況にあったなら、1人で何とかスーツケースを一段ずつ階段に乗せて上って行こうと言う心構えと気合を必要とする。しかし、韓国ではその必要が全くないのである。

大きなスーツケースを1人で転がしている女性が階段付近に差し掛かかろうものなら、側を通りがかった男性が、「手伝いましょうか?」と必ず声をかける。そしてこちらも素直にお願いをすると、特大スーツケースをガシッと掴み、肩に背負って階段を駆け上がってくれるのである。

軍隊に行っていなければ出来ないワザだと思わせるあの逞しさには、感謝の前に見惚れてしまう事もしばしばある。だが、いくら力があっても決して簡単に出来る行動ではない。それを当然の如くやってのける韓国男子たちに敬服しつつ、日本の女子たちが惚れてしまうのも分からないではないと、密かに納得している。

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