グローバルキャリア塾 連載コラム

韓国雑記-異文化の海を泳ぐ (第4回)

第4回:両極端

NPO法人日韓コミュニケーション協会
理事長

木村 妙子

1998年ナレーター時代、韓国のスタジオで収録の為初渡韓し韓国に一目惚れ。以来仕事で日本と韓国を頻繁に行き来する事となる。1999年初頭から独学で韓国語を学び始め、同年8月休業して高麗大語学堂に短期留学。2004年KLPT(世界韓国語認証試験)日本開始の際設立された検定協会に入社。以後運営に奔走し2008年KLPTを引取りNPO法人日韓コミュニケーション協会設立。

(2010年12月15日掲載)

日本に長く滞在している韓国人たち、元留学生たちが、日本に来た当初戸惑った事として、必ず挙げるのが、日本人が使う社交辞令である。必要以上に大きく頷いてしまうのはわたしだけではないだろう。

その一番多い証言は、彼女たちが日本にやって来たばかりの頃、大学等で出会った日本人学生から、「今度遊ぼう。家に遊びにきて。」と言われたので、「いつ行けばいい?」と言ったら困った顔をされたとか、本当に遊びに行こうとしたら嫌な顔をされたという話しだ。本当に遊びたい、家に呼びたいと思うからそう言うのであって、思っていないなら何故わざわざそんな事をいうのか理解に苦しんだと。

この特異な文化である社交辞令、日本で生まれ育って日本社会で生きてきた人ならば、使った事がない人などいないであろう。相手が放った言葉が真意なのか、それとも社交辞令なのか、相手との距離感を考慮した上で判断をしたり、その場の空気を読む、察する等、無意識の中で日常的に繰り広げられている。こういった人への相対し方は、正に日本文化の真骨頂ではないかと思われる。

どんなに親しくてもここまでというラインをお互いに存在させ、距離を保ち、そしてなるべく感じ良くしようと誰に対しても愛想良く振舞う日本人。これに対して、親しくなったらとことん深く、お互いのプライバシーも共有するかのようにさらけ出し、どこまでも情をかけ、そしてダイレクトにぶつかり合う反面、関係のない人間に対しては愛想を振りまかない韓国人。

韓国マニア暦20数年、既に韓国人化した日本人の知人が会う度にしてくれる、この真逆の文化を上手い事表現した面白い話しがある。

日本人は引っ越しをすると、必ずと言っていいほど、「転居のお知らせ」というものを広範囲に渡って出す。そしてそこには漏れなく「お近くにお越しの際には是非お立ち寄りください」と言う決り文句が書いてある。だが、相手全員に本気で立ち寄ってもらいたくて「転居のお知らせ」を出す日本人などまずいないし、もらった方も例えその近くを通りかかったとしても、そのお宅に立ち寄る事はない。

知人曰く、「韓国人にあの葉書を出したとしたら、必ず家族総出で遊びにくるだろう」というオチがつく。あまりに両極端で、聞くたびに大笑いする話しだ。

そもそも異なる文化は、理解するのではなく、受入れるものだと思っている。わたしは専ら、その国の成り立ちやそれを基調として生まれ出た言葉に対して、自分なりに思いを巡らせては持論を展開し、ワクワクしては楽しんでいる。

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