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グローバルキャリア塾 連載コラム

留学と国連-世界8カ国で学んだブレずに自分の軸で生きる力

第10回 地球から宇宙(ISS)への出発口カザフスタンより:  本当の変化のためには価値観やメンタリティーが鍵になるということ

Peace Blossom 代表
キャリアコーチ・マインドセットコーチ
異文化リーダーシップトレーナー
元国連行政官、米軍専門家

大仲千華

国連の行政官(社会統合支援担当)として国連ニューヨーク本部、南スーダンなどで和平合意の履行支援、元兵士の社会統合支援、人材育成に約10年従事。80人強の多国籍チームのリーダーを務める。閣僚経験者も任命される政府要員向け国連PKO国際研修の講師。内閣府「平和構築・平和維持に関する研究会」委員。「自分の軸で生きる練習-オックスフォード・国連で学んだ答えのない時代の思考法」を刊行。コーチングのプロとして自分の軸で生きる大切さを伝えている。オックスフォード大学修士課程修了。

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Peace Blossom

(2021年3月15日掲載)

東ティモールの次の赴任地はカザフスタンでした。カザフスタンとはキルギスタン、ウズベキスタン、タジキスタン等と並んでソ連邦が解体された時に、1991年に独立した中央アジアに位置する国の一つです。

カザフスタンは旧ソ連圏ではロシアに次ぐ大きな国で(世界第七位)、東は中国の天山山脈から西はカスピ海まで領土が広がります。天然資源、とくに石油と天然ガスが豊富です。

面白いところでは、国際宇宙ステーション(ISS)に宇宙飛行士を送り出すソユーズロケットの発射台のあるバイコヌール宇宙基地がカザフスタンの領土内にあります(ロシアが租借)。昨年11月、イーロン・マスク率いるスペースXによる有人ロケット開発の成功で、9年ぶりに日本人宇宙飛行士を含む4名のNASA(JAXA)の宇宙飛行士が米国本土から発射されたロケットによってISSに送り出されました。それまで2011年から2020年の間は、地球からISSまでの唯一の出発口はカザフスタン内のバイコヌール宇宙基地でした。世界初の宇宙飛行士ユーリ・ガガーリンもここバイコヌール宇宙基地から飛び立ちました。
 
さて、東ティモールの次の赴任先はUNESCO(国際連合教育科学文化機関)中央アジア事務所でした。ユネスコといえば世界遺産が有名ですが、もっと日常に近い職務としては各国の教育政策の策定があります。私が関わった仕事には、旧ソ連圏の高等教育のカリキュラム編成がありました。
 
旧ソ連圏の高等教育のカリキュラム編成、と聞いた時に、これから息の長い仕事になりそうだ、と思いました。そして、実質的に要となるのは、新しいカリキュラムに関する知識や技術的な側面よりも、ソ連時代のメンタリティーからの人々のシフトなのではないかと直感的に感じました。
 
ソ連の教育制度について一言だけ付け加えておくと、ソ連時代の教育制度は、人々が誇りにしていたものの一つでした。19世紀初めに21%だった識字率はソ連誕生からたった10数年で連邦内のほぼ全員が読み書きができるようにまで引き上げられました。また、数学に注力した特別な教育によってソ連の宇宙開発が支えられていました。
 
なぜ、「息の長い仕事」になりそうだ、と思ったのかと言うと、人々は、ソ連の崩壊でもたらされた新しい機会と自由への喜びと同時に、変化に対する不安の両方を抱えているようだったからです。
 
当時は、1991年の独立からすでに10年以上が経っていましたが、ソ連という国はなくても、ソ連時代のやり方、考え方や価値観の影響はあちこちで根強く残っていました。カザフスタンに私を訪ね、遊びに来た両親は、入管審査が威圧的で「怖かった」と何度も言っていました。実際、アルマティ(南の首都と呼ばれる最大都市)の街にも政府にも、旧共産圏独特の管理主義的な雰囲気が色濃く残っていました。
 
とは言え、人間は環境の中に適応して生きていくことを学んでいくのでしょう。私たちから見たら不自由で、自由も選択も制限された政治・経済・社会システムであったとしても、それまでの仕組み(ある種の秩序)が失われていくことに対する人々の不安は少なくなかったようでした。例えば、見た目はともかく、ソ連時代には、国や職場から条件に従って住居があてがわれるといった利点もありました。
 
その一方で、市場経済へと開かれていく中で、英語を学び、どんどんと機会を広げ、新しい仕事を享受している人たちがいました。新しい学びに貪欲で、ぜったいに昔には戻りたくないと強く語る人たちもいました。
 
ニーズ調査のためにコンサルタントと共に、カザフスタンやタジキスタンの政府や大学関係者、女性や若者のグループ等からヒアリングを行いましたが、実際、不安と期待の両方が人々の話しに現れていました。そうした話しを聞きながら、こうした社会の変化の中で、人々が抱く不安などメンタリティーの部分に対してはどのような支援をしたらいいのだろう?と考えるようになりました。
 
国連で働く前には、貧困や紛争の問題、復興や平和に関わる仕事というと漠然と食糧支援や人道支援のイメージを持っていました。しかし、東ティモールで私が実際に従事したのは、新しい独立国(Democratic Republic of Timor Leste )の誕生のための制度整備の支援でした。東ティモールは無事に独立を果たし、私が東ティモールに着き、離れるまでのたった一年5か月の間に、選挙が行われ、議会が運営され、憲法が制定され、新しい教育制度を含め行政が立ち上がりました。これは、驚くべきことでした。
 
同時に、いくら国の制度ができても、人々のメンタリティーや価値観がそこに伴わなければ、国が本当の意味で自立し、発展することはきないのではないか?という問いも生まれました。この問いかけは、私の中で「宿題」のように、ずっと心に残り続けていました。
 
そして、ソ連崩壊から10年経ったカザフスタンという国に来て、人々が変化の最中を通っている様子を見て、この洞察は更に深まりました。本当の変化(変革)が社会に定着するには、制度を整備することと同時に、人々の変化に対する心構えや価値観も重要な鍵になる、という気づきでした。
 
この視点とアプローチは、さらに深まっていき、その後の赴任地である南スーダンや派遣先のスリランカで大いに役立つこととなりました。
 
カザフスタンは、日本に人とってはあまり馴染みのない国ですが、素朴で優しい人たちが沢山います。「ラグマン」というシルクロードから伝わったスパゲッティーとラーメンの真ん中のような麺料理があります。同僚が馬肉の手料理をふるまってくれ、ロシア語の先生は本場のボルシチで温かくもてなして下さいました。ロシア語を覚えるのには少し苦労をしましたが、今ではそれもよい思い出です。
 
カザフスタンにいる間に、新しいカリキュラムの編成の完成を見ることはできませんでしたが、沢山の貴重な体験をさせてくれたカザフスタンという土地に感謝しています。

ウズベキスタンウズベキスタン
遊びに来た両親。一緒に旅行したウズベキスタンの市場で。
中央アジアの人たちの顔立ちはアジア系なので、よく現地の人に間違えられ、道を聞かれて困ったことも。

大仲さんのインタビュー連載記事③が Study Hackerに掲載されています。

オックスフォード大学で学び、国連職員として世界各地で活躍してきた大仲さんは、「勉強」と「学び」は、まったくの別物であること、学びとは、勉強と比べてもっと自由で拡がりをもつものと言います。ビジネスパーソンにとっては、勉強とは異なる「学び」のマインドセットが必要と言います。その言葉に込められた真意を聞きました。

▼続きは以下のリンクからどうぞ!

「勉強と学びはどう違う? 社会人に必要なのは『勉強マインド』から『学びマインド』へのシフト」

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