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グローバルキャリア塾 連載コラム

留学と国連-世界8カ国で学んだブレずに自分の軸で生きる力

第5回:その人の人生を導いてくれる「なぜ」の力

Peace Blossom 代表
キャリアコーチ・マインドセットコーチ
異文化リーダーシップトレーナー
元国連行政官、米軍専門家

大仲千華

国連の行政官(社会統合支援担当)として国連ニューヨーク本部、南スーダンなどで和平合意の履行支援、元兵士の社会統合支援、人材育成に約10年従事。80人強の多国籍チームのリーダーを務める。閣僚経験者も任命される政府要員向け国連PKO国際研修の講師。内閣府「平和構築・平和維持に関する研究会」委員。「自分の軸で生きる練習-オックスフォード・国連で学んだ答えのない時代の思考法」を刊行。コーチングのプロとして自分の軸で生きる大切さを伝えている。オックスフォード大学修士課程修了。

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Peace Blossom

(2020年12月15日掲載)

初めてノーベル賞を受賞した方の講演を直接聞く機会に恵まれたのは、オックスフォードに留学をしていた時でした。アマルティア・セン、ケンブリッジ大学教授(当時)でした。ホールは学生と教授達で満席でした。
 
私は経済学や数式が得意ではないので、内容を理解できるだろうかと心配もありましたが、ノーベル賞を受賞した方を見てみたいという動機が勝りました。
 
ところが、彼が一旦口を開き始めると、その心配は一気に吹っ飛んでしまいました。彼は講演の中で、一切数式どころか難しい理論も専門用語もほとんど使うことなく、ごく少数の人にしかわからない質問にさえも、普通の人にもわかる言葉で答えてくださり、彼が経済学の教授であることも、経済学賞での受賞であることも忘れてしまう程でした。
 
インドで生まれ、9歳の時に200万人を超える餓死者を出した1943年のベンガル大飢饉を体験。自分の通う小学校に飢餓で狂った人が入り込んだことに衝撃を受け、「インドはなぜ貧しいのか」という疑問から経済学者となる決心をしたと言われるセン教授。
 
経済学の合理性と分析力には敬意を払い、経済学の中でも高度な数学を使う牽引者でありながらも、講演では「○○学」といった枠さえも越えて、一人の人間として世界の格差について彼が考えてきたことを私たちに伝えてくれたように感じました。
 
学生から出た質問に丁寧に対応し、教授から出された難解な質問にはとてもシンプルに応えていたのが印象的でした。
 
どの発言の根本にも、彼が経済学を志すことになった原点が常にあるように感じられ、優しく、かつ威厳を持って「あなたがどんなことを学んでいたとしても一番大切なことに目を向けなさい。」と一人一人に訴えかけてくださったように感じ、彼の言葉は私の心に響きました。
 
真実や本質というのはシンプルなんだーなぜかそのように感じたのを覚えています。
 
セン教授の人生を導いた「インドはなぜ貧しいのか」という「なぜ」。
その人にとって原体験となるような疑問や問いかけは、時に「当たり前」に聞こえすぎて思わず見逃してしまうようなものかも知れません。でも、それらの問いこそが、その人の人生を導いてくれる源泉となることもアマルティア・セン教授から教えてもらったように思います。

オックスフォード

さて、オックスフォードでの留学生活ももうすぐ終わりという頃、私の中である思いが大きくなり始めていました。
 
私がオックスフォードで社会人類学を勉強したいと思うようになったのは、「民族が違うだけで人はほんとうに争うのか?」という私にとっての「なぜ」でした。
 
理論は習った。でも、現場では実際にそうした課題はどう扱われているのか?どうしたら民族紛争を防ぐことができるのか?自分の目で見て、そのヒントを掴みたいーそんな思いが強くなっていました。
 
全課程が終了してホッとしていた頃、私はクラスメートと共にささやかなお祝いのランチに招かれていました。スーダン研究における世界的な権威とされるダグラス・ホフマン教授とウェンディー・ジェームス教授のお宅でした。
 
それから5年後に、アフリカ最長の紛争と言われたスーダンの内戦が奇跡的に停戦に導かれ、私は、国連の行政官(社会統合担当)として和平合意(CPA)の支援のためにスーダンの地に足を踏み入れることになりました。4年間に及ぶ職務の中で、南スーダンの独立や新しい国としての将来についてのヒントを求め、ホフマン教授が著したスーダンについての解説書を必死の思いで何度も何度も手にとることになるとは思ってもいませんでした。
 
さらに、南スーダンの独立を決める住民投票を翌月に控えた時には、南スーダンの地で、当地に講演に来られたジェームス教授に再開しました。
 
その時にはちょっと不思議な気持ちがして、もしかしたらスーダンで働くために、当時の私を神さまはすでに準備させてくださっていたのかしら?と思ったりもしました。
 
アマルティア・セン教授の講演を含め、その後も「点と点が繋がって、一つの線となっていくような体験」が続き、私は、一人一人に与えれた「問い」や「テーマ」のようなものがあって、自分の情熱にしたがってそれをみつけ、探求していく過程で、いろいろな出会いや機会に導かれ、その人のギフトや能力が引き出されていくのではないかと思うようになりました。
 
後でスーダンに行くことになると知っていたら、もっと真剣に勉強したのに?!(かな?)と思ったりもしましたが(笑)、分からないながらも、その時々にサポートが与えられ、進み続けることができ、点と点が一つの線になっていったと感じています。

誰の中にも人それぞれの「なぜ?」があります。その人の興味、関心、情熱、問題意識を含めたその人の人生の方向性を指し示す「なぜ」です。どうか、自分の中で生まれた疑問や問いを改めて大切にして欲しいと思います。
 
次回は、出会いの恵みについてお伝えしたいと思っています。

オックスフォード
パーティーではこんな時間も。

日経ビジネス 2020/11/09号「特集コロナ後の新人ーPART4 新人教育改革の難問」にて大仲さんがインタビューを受けた記事が掲載されています。

コロナ禍で教育や人材育成の意義が見直されていますが、人材育成の目的は、仕事のやり方や社会のルールを学ぶだけでなく、自分の頭で考えることができ、高い目的意識と意欲を持つ自律型人材の育成である、と記事はまとめています。

グローバルキャリア塾でのコラムが人材育成や教育という観点からもなんらかのヒントとなりましたら幸いです。

日経ビジネス表紙
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