行けばわかるさ (第22回)
第22回:異文化交流の大切さ
丹 勇貴(たん ゆたか)
大学卒業後、特殊法人職員、翻訳・通訳業などをしながら、週4日はサッカークラブの夜間練習に参加するという“夢追い人生活”を経験。夢追い終了後、商社勤務、レストラン経営等を経て現職。著書「就職は自分の“売り”で勝負しろ」
日本人は中国や韓国などの隣人たちに比べて「英語が苦手」などと言われてきましたが、近年はこれだけ英語教育が盛んになったためか、日本人も日常会話レベルの英語力は身につけているように思います。
もし、日本人に欠けているものがあるとすれば、それは「異文化コミュニケーション能力」かも知れません。言葉はそれを発した人の国の文化的背景やその人個人の心情などをわかっていないと、正確に理解することは出来ません。
先日、ある言語研究家が雑誌で、「花嫁には“Congratulation!”という祝福の言葉は述べてはいけない。“Congratulation!”という言葉には『努力して勝ち取る』という意味が含まれているので、花婿にはOKだけれども、花嫁に言うと失礼になる。花嫁には“Happy Wedding!”と声をかけて祝福すべき」といったことを書いていました。
大昔のこととは言え、英国に住んでいたことのある私は“Happy Wedding!”なる祝福の言葉は聞いたことがなかったので、日本在住の英国人に確認したところ、「“Happy Wedding!”はあり得ない。相手が花婿であろうと、花嫁であろうと、やっぱり“Congratulation!”が一般的だろう」とのことでした。
言語は時代とともに変わっていくものなので、“Happy Wedding!”という言い方はあるのかも知れません。ただ、「花嫁には“Congratulation!”はNG」と断定するのは、「言葉」というものが持つ柔軟性や奥深さを否定しているように思います。
たとえば、ごく親しい友人同士ならば、“Congratulation!”と言っても何の他意もないでしょうが、恋敵がこの言葉を発した場合は、本心ではなく、やっかみや嫉妬のニュアンスが含まれていても不思議ではありません。
要は、言葉以外の部分を勘案しない限り、言葉の正確な意味など把握できないように思うのですが…。そういう意味では、異文化交流による体感によってコミュニケーション能力を鍛えることって、大切ですね。
皆さんはどう思いますか?
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(2009年8月15日掲載)
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