行けばわかるさ (第23回)
第23回:米国社会の摩訶不思議
丹 勇貴(たん ゆたか)
大学卒業後、特殊法人職員、翻訳・通訳業などをしながら、週4日はサッカークラブの夜間練習に参加するという“夢追い人生活”を経験。夢追い終了後、商社勤務、レストラン経営等を経て現職。著書「就職は自分の“売り”で勝負しろ」
一般的に米国人は「合理的でドライである」と言われますが、私もかつて米国人の経営する会社に勤めたときに、それを感じました。彼らは最短距離で最高の利益を上げることを考える「狩猟民族」であり、安定性と継続性を重視する「農耕民族」の日本人とは、ビジネスに対する考え方が根本的に違います。
それにも関わらず、近年、日本でも米国的手法がもてはやされ、無闇に様々な規制緩和が推し進められた結果、理不尽な格差社会が出来てしまった、というのがここ数年間の日本社会の姿だと、私は考えています。
さて、この格差社会の是正は、新政権の手腕に期待するとして、今回、私が注目したのは、合理的でドライであるはずの米国人の約6割は「人間は神の創造物である」と信じており、「人間は類人猿から進化した」とするチャールズ・ダーウィンの「進化論」を否定している、というニュースです。
米国の熱心なキリスト教徒が多い地域では、少し前まで、学校の授業で「進化論」を教えられなかったという話を聞いたことがありますが、今回の報道によると、「進化論」を確立したチャールズ・ダーウィンの生涯を描いた映画が、米国では上映されないことになりそうとのこと。
医学や科学、そしてショービジネスの分野でも、世界のトップクラスにあるはずの米国で、このような合理性とはかけ離れた理由で、米国ショービジネスの代表とも言える映画興行が影響を受けるとは…。米国社会の摩訶不思議。
これから米国留学を計画している人は、是非、多くの現地の人たちと交流し、米国社会の奥深いところを探ってみてください!
(2009年9月15日掲載)
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