グローバルキャリア塾 連載コラム

行けばわかるさ  (第5回)

第五回:主体的英語学習のすすめ①

扶桑法務事務所

丹 勇貴(たん ゆたか)

大学卒業後、特殊法人職員、翻訳・通訳業などをしながら、週4日はサッカークラブの夜間練習に参加するという“夢追い人生活”を経験。夢追い終了後、商社勤務、レストラン経営等を経て現職。著書「就職は自分の“売り”で勝負しろ」

世界でも日本ほどテレビで、英語をはじめとする多くの語学講座を放送している国はないでしょう。それにも関わらず「私は英語が出来ます!」と断言する人の数は、おそらく他の非英語圏の国民に比べると、少ないと思います。しかし、本当に日本人は他国民に比べて、英語が出来ないのでしょうか?

英語と同じアルファベットを母語に使うフランス人、ドイツ人などに比べて、日本語という独自の言語で読み書きする我々日本人は、英語学習に関しては、不利であることは間違いありません。特に欧米諸国の言語は、単語が英語に似ていることが少なくないので、子供の頃に英語を習い始めるときも、日本人よりはすんなり入り込めるでしょう。

それでは、隣国の中国や韓国と比べて、日本人の英語力はどうかといいますと、私の個人的見解ですが、日本人のほうが中国人や韓国人に比べて、基礎な英語力の平均レベルは高いのではないかと思います。しかし、一般的に、自分が少しでも英語が出来ると自負している中国人や韓国人は「自分たちのほうが日本人よりも英語力は上」という意識を持っているようです。
そもそも語学力などというものは個人の能力ですので、人種別に英語力を比較すること自体、あまり意味がないのですが、「日本人は英語教育を受けた期間が長いわりには、英語が下手」といったことは以前から我々日本人の間でも議論されており、また、「日本人は英語が苦手」というふうに、中国や韓国などのアジア諸国でも認識されていることは事実です。

なぜ、このような“日本人英語苦手説”が自他共に認識されているのか?
それは次のような理由からであると、私は思います。

【理由①】 日本人は少しくらい英語がしゃべれても「自分は英語が出来る」とは言わない。

【理由②】 日本人は人前で、発音や文法的に間違っている“ブロークンイングリッシュ”を話したがらない。

【理由③】 上記2つの理由から、日本人はツアーで大挙して海外旅行に行っても、旅行先で買い物をする場合に、各自が英語で店員と交渉するのではなく、添乗員や英語がある程度堪能なツアー参加者などを通訳にして、“団体交渉”のようなことをするため、如何にも英語が出来なさそうに見える。

【理由④】 世界に注目される国際政治の舞台に登場する日本の政治家で、英語でしっかりとメッセージを発することができる人物があまりにも少ない。

私は仕事で頻繁に中国上海に行きます。上海は中国でもお金持ちが多く、欧米諸国からも多くの企業が進出している国際都市というイメージがありますが、仕事上の取引先やホテルなどの外国人を相手にしている施設以外では、英語はほとんど通じません。
国民の平均的な教育水準は、中国よりも日本のほうが高いので、英語しかできない外国人が、上海市街で通行人に道を尋ねた場合よりも、東京のどこかにあるローカルな商店街で通行人に道を尋ねた場合のほうが、無事目的地に到達する可能性は高いと思います。つまり、一般庶民レベルでは、日本人の英語力は、他のアジア諸国に決して劣ってはいないと、私は断言します。

しかし、日本と中国で、たとえば大学生など、ある程度の教育水準の人に対象を限定して、特定のテーマについての意見を聞くインタビューを英語で行った場合、日本人よりも中国人のほうが積極的に自分の意見を述べるでしょうから、“英語による意思伝達能力”という意味では中国人のほうが平均点は高くなるでしょう。

これは必ずしも「高等教育を受けた層では、日本人よりも中国人のほうが、英語が出来る」ということではありません。単に、「傍から見たら、多少発音や文法が間違っていても、自分の意見をがんがん英語で主張する中国人のほうが、体裁を気にして言葉少ない日本人よりも、英語がしゃべれるような“印象”を受ける」ということを言っているだけです。

これは私見かも知れませんが、日常会話および一般的なビジネスレベルの英語に関しては、我々日本人の英語力の評価は、まわりで聞いている“他の日本人”に対してどのような“印象”を与えるかによって決まってしまっているような気がします。そのあらわれが「英語がぺらぺら」という表現です。このよく使われる「ぺらぺら」という表現こそが、これまでも日本人の英語力を伸ばす上で、大きな阻害要因の一つになっているのです。

(つづく。次回は「ぺらぺら」という表現の恐怖に迫ります。)

(2007年12月1日掲載)

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