グローバルキャリア塾 連載コラム

ニッポン人のさとり方 (第13回)

第13回  我々は音を立てずに復興する

松岡 祐紀さん 株式会社ワンズワード
代表取締役、写真家

松岡 祐紀

19歳でスコットランドのエディンバラに留学。NYにてスタジオアシスタントを経験した後、ロンドンに在住。帰国後はフリーランス・フォトグラファーとして活躍。2009年にノーベル平和賞受賞者ムハマド・ユヌス氏の「ソーシャルビジネス」という理念に感銘を受け、株式会社ワンズワードを起業。レッスンの質の高さを売りにしたオンライン英会話スクール「ワンズワードオンライン」を立ち上げる。

2011年よりブエノスアイレスへ移住、さらに第三の故郷としてメキシコシティに居住。2014年3月に中南米・南米の英語学習者のためにスペイン語版ポルトガル語版英語版のオンライン英会話スクールを開設。現在は、ブエノスアイレス、メキシコシティ、日本を行き来して、ソーシャルビジネスの理念の普及と事業拡大を目指している。

個人ブログ: https://keepmyword.hatenablog.com/

株式会社ワンズワード

(2011年4月1日掲載)

旅先でよく「何人ですか?」と訊かれる。以前は、「日本人です」とはっきりと答えることを躊躇した。なぜなら、そう答えるとボラレたり、騙されたりする可能性が飛躍的に向上したからだ。

しかし、30数カ国を旅し、複数の国の人たちと実際に仕事をしてみた結果、「日本人はもしかしたら世界一優秀な民族ではないか」と思えるようになった。これは別に愛国心からではなく、単純に比較検討した結果だ。

だから、今は同じ質問をされても、はっきりと「日本人です」と言えるようになった。

東北地方太平洋沖地震で多くの人が亡くなったが、その一方で世界中から日本人のモラルの高さに賞賛の声が挙がっている。その理由の1つに、我々は「最悪の事態」を常に想定し、またそのように教育されてきたことが挙げられる。
地震や津波、それに火災を常に想定し、その準備を怠らない。高さ10mもの堤防を備えている国などそうそうない。

仕事でもそれが当てはまる。他国の人との仕事では、こちらの10の要求はせいぜい5か6程度でしかこなされず、事細かに指示をしないと動いてもらえない。納期なども守られた試しがない。

日本人は1の指示でも、10をこなすことができる。常に最悪のケースを想定し、そしてそれに対する最善の努力を怠らない。我々はなるべく客観な目を持って仕事を行い、「身勝手な行動」とは程遠い行動規範を持っている。そして、納期は死守する。

他国では最悪の事態はそうそう起こらない。日本は違う。戦争では負け、原爆を一度ならず二度も落とされ、世界初の被爆国となり、台風や地震には常に悩まされてきた。阪神大震災や新潟県中越地震などの大地震も記憶に新しい。

日本人に取って、最悪の事態は身近なものだ。

しかし、それが起きるたびに我々は鮮やかに復興してきた。音も立てず、大騒ぎもせずに、自分たちが出来ることだけを心がけて、復興してきた。

菅首相は「参ったな」と表情でスピーチを行い、まるでリーダーシップを発揮することはない。だが、いつ日本の首相がリーダーシップを発揮しただろうか?

我々は誰かに頼ることなく、一人の一人の努力でここまでのし上がってきた民族だ。それを集約させて、優れた工業製品を作り、他国ではあり得ないほどのサービス精神を培ってきた。

政府は相変わらず迷走し、マスコミは感情的な放送で日本の危機を煽る。でも、今は我々はツイッターで情報を共有し励まし合い、FACEBOOKで世界と繋がっていられる。

そうして、我々は世界があっと驚くようなスピードで、音も立てずに鮮やかに復興する。

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