グローバルキャリア塾 連載コラム

ニッポン人のさとり方 (第31回)

第31回  TOEIC®TESTのための勉強をしないで、TOEIC®TESTで高得点を取る方

松岡 祐紀さん 株式会社ワンズワード
代表取締役、写真家

松岡 祐紀

19歳でスコットランドのエディンバラに留学。NYにてスタジオアシスタントを経験した後、ロンドンに在住。帰国後はフリーランス・フォトグラファーとして活躍。2009年にノーベル平和賞受賞者ムハマド・ユヌス氏の「ソーシャルビジネス」という理念に感銘を受け、株式会社ワンズワードを起業。レッスンの質の高さを売りにしたオンライン英会話スクール「ワンズワードオンライン」を立ち上げる。

2011年よりブエノスアイレスへ移住、さらに第三の故郷としてメキシコシティに居住。2014年3月に中南米・南米の英語学習者のためにスペイン語版ポルトガル語版英語版のオンライン英会話スクールを開設。現在は、ブエノスアイレス、メキシコシティ、日本を行き来して、ソーシャルビジネスの理念の普及と事業拡大を目指している。

個人ブログ: https://keepmyword.hatenablog.com/

株式会社ワンズワード

(2012年10月1日掲載)

世の中には気が滅入るニュースが多いが、そのなかでも個人的に気が滅入るのは、TOEIC®TEST関連のニュースだ。

社内英語化の楽天 TOEIC点数足りずに減給される社員は5%

三菱電機エンジ、来年から全社員に「TOEIC」義務付け

TOEIC®TESTのための勉強なんて、くその役にも立たない。時間の無駄だ。そもそも問題なのは、TOEIC®TESTのためだけに英語を勉強すると、どんなに高得点取っても、英語で外国人とコミュケーションが取れないことだ。

これではまさに本末転倒だ。

そもそもTOEIC®TESTは「英語教育のひとつの手段」として日本人が発案したテストだが、その最も大事な「英語教育」という部分が抜け落ちてしまい、テストだけがひとり歩きしてしまったものだ。(詳しくは東大の中原先生のこちらのブログに詳しいです)

TOEIC®TESTというテスト自体はとても良く出来たテストであり、当時英検しかなかったので、それだとあまりに専門的すぎるということで、「外国人とコミュケーションが取れる英語力を計る評価基準」が必要という認識のもと創設されたテストだ。

だが、そのあといつまのにか「TOEIC®TESTで高得点が取る」ということが目的化してしまった。たとえばヨーロッパで広く認知されているケンブリッジ英語試験のように、試験勉強自体が英語力向上に役に立ち、実際に外国人とコミュケーションが取れないと試験に合格出来ないような作りになっていれば、問題なかった。

TOEIC®TESTはそのような作りになっていないし、そもそもそれを目指していなかった。ある一定の英語力を計る「足切りテスト」として機能するが、それ以上でもそれ以下でもない。

それに今現状、どれだけの人が仕事で英語を必要としているのだろうか?それほど多くの人が必要としていると思えない。業務に支障がきたすほど英語が必要としているのであれば、TOEIC®TESTなんて言っていないで、会社の金で今流行のフィリピン留学させて、毎日8時間缶詰になって英語を勉強させればいい。

ユニクロも楽天も英語公用語化したから、「やれやれ、せめてうちもTOEIC®TESTとやらを社員に受けさせるか。なんとなく国際的なところをアピールしないとだし」という感じで、ほかの企業も追随している気がしてならない。

英語は必要な人が勉強すればいいし、趣味で勉強するのであれば、TOEIC®TESTなんて必要ない。TOEIC®TESTで高得点取るより、外国人ときちんとコミュケーションが取れたほうが、人生をより豊かに出来る。

英語の勉強のひとつの過程としてTOEIC®TESTを受験することはなんら問題ないが、それを目的としてしまうと、「TOEIC®TESTで高得点を取るためのあらゆる方法」を研究することになり、最終的には英語でのコミュケーション能力向上にはなんら役に立たないことに時間を費やすことになる。(マークシートで四択だったら、最初から英語力向上なんて目指さずに、TOEIC®TESTで高得点を取る方法だけを考えた方が早い)

外国人がきちんと英語でコミュケーションを取るという視点から言えば、TOEIC®TEST 800点くらいがスタートラインだと思う。だが、多くの人はそこがゴールだと勘違いしている。

 

じゃあ、どうすればTOEIC®TESTのための勉強をしないで、TOEIC®TESTで高得点を取れるかって?

そんなことは簡単だ、TOEIC®TESTのことなんて忘れて一日最低でも一時間、毎日勉強することだ。それで1000時間ぐらい勉強すれば、TOEIC®TESTCのために勉強しなくても高得点は取れるはずだ。


手始めにヨーロッパの人たちが英語を勉強する際のバイブル「English Grammar in Use」から始めてみればいい。騙されたと思って、毎日勉強して3巡くらいすれば、英文法がみっちり身に付いているだろう。

そうして、前回紹介したように毎日音読することを欠かさないことが重要だ。

オンライン英会話を受講する際も、当然のことながら予習と復習を一セットにして、毎日なんらかの英文を書いて、Lang-8で無料で添削してもらってもいいし、うちがやっているマテアスメソッドのように密度の濃い添削をしてもらってもいい。

ただ話すだけで英語がうまくなるのは幻想だ。インプットしなければ、アウトプットのレベルはいつまで経っても向上しない。インプット10、アウトプット1の比率で考えると、英語学習を挫けず続けられる。(ここでのアウトプットは純粋にスピーキングのみです。ライティングもアウトプットとは言えますが、添削前提なので、インプットの機会と捉えてレッスンで習った語彙やイディオム、それに接続詞などを使えばかなり効果的です・・・・・っていうか、毎日スペイン語でそれをやっていますので効果は保証します)

毎日勉強するのも嫌だし、1000時間も勉強したくない、でもTOEIC®TESTで高得点は取りたいという人は、英語で外国人とコミュケーションを取るということはもう忘れて、TOEIC®TESTのためだけに勉強すればいい。

冷たいようだけど、それが現実だ。

ただ繰り返しになるが、TOEIC®TESTで高得点を取るよりは、外国人ときちんとコミュケーションが取れたほうが、人生はより楽しく豊かになる。

あと最後に英語学習の秘訣は、「同じことを繰り返し、何度でも自分が実際に使えるまで勉強すること」だ。それよりほかに近道はない。

最後の最後に夢も希望ない実話を披露しようと思う。今年の3月にフィリピンに行った際に先生1人1人と話したのだが、複数の先生からとある生徒様の英語はこの1年で飛躍的に向上したという話を聞いた。

その話はとても印象深かったので、実際にその生徒様に「どんなふうに英語を勉強しているか?」訊いてみた。すると返ってきた答えがこれだ:

「朝5時ぐらいに起きて出勤前に2時間、それから仕事から帰ったあとに2時間、毎日英語を勉強しています」

現実なんてそんなものだ。世の中には上には上がいるものだとつくづく思った瞬間だった。自分を含めてそんなことは無理と思う人たちは、せめてオンライン英会話レッスン(自分の場合はスペイン語レッスン)をより充実させるために、もっと能動的にレッスンを受講することから始めてみるといいかもしれない。

※TOEIC® is a registered trademark of Educational Testing Service.

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