次世代教育 (第11回)
第11回:バーンスタインの教育という選択
株式会社E-Concierge
代表取締役
斉藤 克明 (さいとう かつあき)
11981年より一貫して海外の初等・中等教育コンサルティングに携わる。1999年、中学・高校留学ガイドを出版。 2001年、日本人初のアメリカに本部を置くIECA(教育コンサルタント協会)のメンバーとなる。E-Concierge代表取締役、海外留学協議会副理事長。
(2010年7月1日掲載)
ピアニストとして、指揮者として、音楽を愛する人たちに喜びと感動を与え続けた
バーンスタインのスピーチをご紹介させていただきます。
1990年、PMF(Pacific Piano Festival)オープニング・セレモニーで71歳の彼は
これからの人生のあり方を模索し、明確な意思を聴衆に伝えます。
彼のメッセージを以下、要約します。
歳を重ねて今、私は新たなる選択をするときがきた
音楽を通じていかに人のために尽くすにはどうすべきだろうか
神が私に与え給うたピアノとの出会いと愛の時に戻って
ベートーベンのピアノソナタのすべてを弾きつづけることにしようか
指揮者を続けてブラームスの交響曲を演奏しつづけようか
あるいは、作曲に没頭しようか
私は何を選択しようか考えてきた。だれでも71歳ともなれば選択をせまられよう
そして、私はこれからの情熱と時間を神が許し給うた教育に捧げたい
若い人々、特に小さな子どもたちと一緒にでき得る限り
私の知りえた音楽を分かち合いたい
音楽だけでなく、芸術について、そして芸術と人生について
彼らがそこに身をおき、自分を発見し、自分の存在意義を知り、
自分にとりもっとも素晴らしい仕事をさがせるために
スピーチの後、バーンスタインが小学生から大学生までさまざまな子どもに
音楽を指導する映像がありました。
子どもたちを相手に一番表情豊かで、情熱に満ちていて、活動的であったのは
71歳のおじいちゃん、偉大なるバーンスタインでした。
こうして書いていると、目頭が熱くなってきます。
バーンスタインはその晩年(1990他界)になっても、
音楽への情熱と思慕を若い世代に伝えようとしました。
カラヤンと並び称される偉大なる20世紀の音楽家の最後の選択において
権威とか地位とか全く考えなかった。
自分のことよりもこれからの世代に伝える使命を神の名において実践した。
私も教育に携わる者として彼の精神を心の宝として
生きてゆきたいと思います。
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