グローバルキャリア塾 連載コラム

次世代教育 (第35回)

第35回:ボーティングスクール-スポーツと勉強の両立について

株式会社E-Concierge
代表取締役

斉藤 克明 (さいとう かつあき)

11981年より一貫して海外の初等・中等教育コンサルティングに携わる。1999年、中学・高校留学ガイドを出版。 2001年、日本人初のアメリカに本部を置くIECA(教育コンサルタント協会)のメンバーとなる。E-Concierge代表取締役、海外留学協議会副理事長。

株式会社E-Concierge

(2012年5月1日掲載)

ボーディングスクールでの学習、スポーツ活動において明らかに、優先されるのは学習です。そして、ボーディングスクールでは、良い生徒と同時に、良いスポーツマン・ウーマンであること追求しています。

ボーディングスクールで生徒に「スポーツから何を学ぶか」と尋ねると、一番多い回答は、「タイムマネージメント」、次に「チームワーク」、そして「リーダーシップ」などとなります。朝、8時半には授業がスタートし、15時に終了。15時30分からスポーツ活動が2時間、夕食のあと、2時間の自習時間、その後の自由時間は最大でも1時間半ほどです。さらに、水曜日と土曜日は、ホームとアウェイで対抗試合があります。

生徒たちは、寮生活といういわば、一般社会から孤立したこのボーディングスクールの社会のなかで、実はかなり忙しく日々を過ごしているのです。教室での勉強が終わっても、自由ではありません。さらには、教科ごとに、課題や宿題は遠慮なく出ます。生徒たちは、このようなスケジュールのなかで、どのように日々を過ごしたら、すべての課題がこなせるかを学ばざるを得ないと言っていいと思います。

学習とスポーツ、いずれか一方の得点のみを追求することは、ボーディングスクールでは、到底許されません。履修科目のうち、一つでも「欠点」があれば、警告が発せられ、その科目の先生、学生部長、アドバイザー同席の話し合いが持たれます。Fの状況が3カ月以上続き、改善が見られなければ、確実に翌年は学校から再入学を断られるか、同じ学年を繰り返すことを求められるでしょう。たとえ、全米一になったとしても、「F」を解消できない生徒は、認めないのがボーディングスクールの教育です。

このボーディングスクールの精神の背景には、全人格教育があることは明確です。スポーツを職業にしていけるいわゆるプロ選手になれる可能性は極めて低く、たとえプロになれたとしても、さらにはそれを一生涯の仕事としてゆける保障はありません。それ故に、スポーツ以外でも、しっかりと努力ができて、良識のある人(good citizen)であるために、勉強での達成度を厳しく管理することになります。

ボーディングスクールには、PG(ポスト・グラジュエート)と呼ばれる、高校卒業後一年間をボーディングスクールに入学するシステムがあります。バスケット、アメリカンフットボール、ラクロス、アイスホッケーなどの分野で、才能のある生徒がこのシステムを利用して、自分の得意な複数のスポーツ種目を徹底的に行います。そのスポーツ特待生といった立場の彼らでも、Fはもちろん許されません。成績の悪いスポーツ特待生は、結局、自分の望む大学で、自分の望む種目をプレーすることはできないのです。

ボーディングスクールのスポーツコーチは成績と競技能力、そして進学ということを熟知しています。それ故に、コーチが務められるわけです。彼らは、何よりも自分の教え子に、協調性とチームとしての価値観の達成を要求します。

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