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グローバルキャリア塾 連載コラム

次世代教育 (第19回)

第19回:クライストチャーチ地震における善意のシステム

株式会社E-Concierge
代表取締役

斉藤 克明 (さいとう かつあき)

11981年より一貫して海外の初等・中等教育コンサルティングに携わる。1999年、中学・高校留学ガイドを出版。 2001年、日本人初のアメリカに本部を置くIECA(教育コンサルタント協会)のメンバーとなる。E-Concierge代表取締役、海外留学協議会副理事長。

株式会社E-Concierge

(2011年3月5日掲載)

地震当日私はクライストチャーチにいました。
日本では経験したことのない大変な揺れでした。
今でもライフラインが確保できずにクライストチャーチで不自由な生活を
強いられている人がたくさんいます。
下記、2月23日の状況をお伝えします。

私たち、ホテルの滞在者10人あまりは朝8時ころに召集され、
シビル・ディフェンス(CD:人民保護団体)によりウェリントンに移送されると
ホテルのマネージャーから告げられました。訪問者がそのまま
クライストチャーチに居残ることはできないとのことでした。
たくさんの人が罹災したなかで、「何かできないか」と考えたのですが、
何もできませんでした。すみません。

被災者登録のため、バーンサイド高校にゆきました。
パスポート、お金、貴重品などすべてをホテルに置いたまま、
ロックアウトされるといった状況が当たり前のなかで、
私たちは恵まれていました。

被災者登録をすませ、空港に向かい、軍用機C130ハーキュリーズで
ウェリントンに移動、NZAirの特別便で午前1時ころに
オークランドに到着しました。

午前4時40分、成田行きのNZ便に搭乗しました。

地震直後の恐怖心はおさまりました。そして、この国ではなんと
善意のシステムが合理的に機能するのだろうと感心しています。
クライストチャーチでの被災者登録は下記の項目がありました。

・accomodation(住居に困っている人)
・flight(航空機を利用したい人)
・missing people(行方不明者を探している人)
・money(お金のない人)
・food(食べ物)
・residents(住民で困っている人)

何で困っているかを明確にし、それぞれの目的に合わせたアドバイスをし、
それを書面に落とします。
「この書類を大切にね。どこでも必ず見せるのよ。」
CDスタッフはみな親切であり、親身です。
「ホテルに戻ることはできないし、これからどうしよう」という被災した人の
こころを理解して、アクションを起こしてくれます。
黄色の蛍光色、CD(civil defence:人民保護)の腕章、チョッキをつけた人は
高校生から老人までいますが、それぞれが頼もしく、良く機能していました。

「善意」という言葉が浮かんできます。
これがすべてだと思いました。
身の回りのすべてを失くしてしまった人たちにあげられるもの、
善意以外のなんでしょうか。
この国ではそれが、当たり前に、合理的かつシステマティックに、
表現されることに私は大変感動し、感謝しています。

クライストチャーチ、ウェリントン、そしてオークランド、行く先々で
赤十字が待ち構えていて、それぞれ新たに登録書を記入するのは、
それぞれの被災者をトラックして、安否確認をフォローするためのようです。
赤の十字のある書類は、「水戸黄門の印籠」でした。
オークランドでは、日本語の話せるCDが丁寧に私たちの世話を
真夜中にもかかわらず、やいてくれました。
食品会社の職員さんだそうです。

普段、普通に生活している人が、CDの腕章やチョッキをつけたとたんに
人助けモードに即切り換えられるNZの人々に感涙の念を持って
感謝しています。

現地にいながら、罹災した人達の現状をあまり正確にお伝えできず、
すみません。しかし、私はおそらく人生で二度とない経験をして、
自分が行っている仕事の意義を再確認しました。

人の良心や善意という意識は、グローバルであり、
それを信じて生きたいという勇気と自信、
私たちがやっていることはそれゆえに価値があるのだと思います。

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