グローバルキャリア塾 連載コラム

次世代教育 (第42回)

第42回:迷える青年 (4)

株式会社E-Concierge
代表取締役

斉藤 克明 (さいとう かつあき)

11981年より一貫して海外の初等・中等教育コンサルティングに携わる。1999年、中学・高校留学ガイドを出版。 2001年、日本人初のアメリカに本部を置くIECA(教育コンサルタント協会)のメンバーとなる。E-Concierge代表取締役、海外留学協議会副理事長。

株式会社E-Concierge

(2012年7月8日掲載)

幸いなことに、私は今までいわゆる「外面」の悪い生徒に
めぐり会った記憶がほとんどありません。
留学以前に親子関係が問題と思しきことを直感させられるケースでさえ、
対象となる生徒は終始無言であり、質問にも曖昧に答える程度で、
初対面で私の面前で親子喧嘩や私に彼らが突っかかってくることはありません。
「留学はしたくない」と内心思っていても、
本人の心境と初対面の私との関係性が薄いために、自分の感情を
あらわにすることが、「非常識」だと生徒たちが認識しているからだと思います。

さて、お母さんとの関係がかなり険悪なこの青年のケースも例外ではありません。
私と口を聞くようになってからのこの青年は、礼儀も正しく、素直であり、
私の言うことにも熱心に聞いてくれます。要するに、彼は他人の私という
「異文化人」と接するときは、私の文化を尊重してくれているわけです。
しかし、自分の「家族」という文化圏にいるときは、その統括責任者としての
お母さんのいうことは、到底彼が容認できないことが多いわけです。
彼の真理としては、自分を認めてくれるところでやってみたいという発想
なのでしょうが、その発想を実行に移すためには、「予算」が必要です。
その面での配慮や根回しはありません。それ故に、誇り高き青年は
統括責任者のお母さんに当然のことながら、突っ込まれてしまうわけです。
それを自分でかわすことができないため、すこしばかり感情力を借りて、
You don’t understand me!となるわけです。

お母さんもマリアさん、お釈迦様的境地になったとしても、それでも
お金のやりくり、本人の今までの学習ヒストリー、本人の思考性などを考えると
留学ということが彼にとり、大きな「賭け」であることは、
容易に想像できるわけですから、本人に「いい格好」する必要は全くなく、
こころで涙をながしながらも、わが息子に当たらないわけにはいけません。
お母さんは、「あなたのためにこうしてる」とも言いません。
それで、彼が理解できるのであれば、このような結果にはなっていないと
推論できるからです。

アメリカとニュージーランド、どちらの国に留学したらいいのか、
青年は決めかねています。
アメリカのボーディングスクールを自分の目で見たことのある青年にとって、
ニュージーランドの学校との単純比較では、施設面、その環境的雰囲気に
おいては、アメリカと言いたいところでしょう。
しかし、彼が入りたいといったアメリカのボーディングスクールは
彼の現在の英語力、学力では入学できないのです。
その点、ニュージーランドの学校の入学難易度は
アメリカボーディングスクールとは比較の対象にはなりません。
ニュージーランドの中学・高校の留学生受け入れは、いわば国策です。
名門私立もESLを備えて、かなりオープンに留学生受け入れに積極的です。
この2国はともに英語圏という共通性を持ちながらも、
ボーディングスクール文化はその起源をイギリスに発しながらも、
両国独自の展開をしています。

< つづく >

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