グローバルキャリア塾 連載コラム

次世代教育 (第7回)

第7回:国母和宏君の腰パン騒動について

株式会社E-Concierge
代表取締役

斉藤 克明 (さいとう かつあき)

11981年より一貫して海外の初等・中等教育コンサルティングに携わる。1999年、中学・高校留学ガイドを出版。 2001年、日本人初のアメリカに本部を置くIECA(教育コンサルタント協会)のメンバーとなる。E-Concierge代表取締役、海外留学協議会副理事長。

株式会社E-Concierge

(2010年3月1日掲載)

私は国を代表してスノボーで勝負するという彼の誇り、
その精神を最も大切にしたいと思っています。

国母和宏君の腰パン、タックインしないシャツ、ルーズなネクタイ、
彼の報道や週刊誌の記事を見るたび、教育を考えさせられます。

ボーディングスクールの中で規則とスケジュールにうるさいミリタリースクールで
学ぶ生徒の意見をご紹介します。

曰く

日本にいた時、学校の規則には反発していました。
服装や髪型などの細かいことを指摘されるのが嫌でした。
<ミリタリースクールの方が規則や時間にうるさいのではないですか>
日本よりも自由です。
あまり抵抗はありません。

この生徒の反応を皆さんは不思議と思いますか。

私はなるほどなあと納得するのです。
ルール説明→理解→質疑応答→納得→実行
流れが明確なので、生徒は納得するのだと思います。
ユニフォーム着用にNOであるなら、入学できないのです。
そのことは明確に事前に説明されます。
そして、それを理解したと本人自署のもとに入学します。

国母君には事前の説明が欠けていたのではないかと思います。
「事前説明をし、選手行動マニュアルもを渡してある」のであれば、
それでもなお、彼の平素の格好をかんがみて、
ユニフォーム着用中はすべて公を彼に解らせるのが得策ではないでしょうか。
すくなくとも競技に集中できる環境を作ることが第一優先と思います。
彼の頭がユニフォームよりも競技の結果に集中するように回転するのは、
選手である以上当然のことと思います。

彼は移動を私と考えた。
そこにカメラが向けられ公を当たり前と考える人たちからの批判が集中した。

騒動の後に、いいやつとしての彼がたくさん伝えられました。
「いいやつ」  
「思いやりのある人間だからまあいいだろう」
ということでしょうか。
私はこの件で納得していないのは国母君自身ではないかと思います。

英語でいえば、Tuck in, raise the pants, put your tie neatだけのことに、
なぜ出場辞退勧告があるのか。
「日本を代表しているのだからあたりまえ」でしょうか。
公と私の意識のずれを彼が納得しない限り、
彼は表面をつくろってもはらの中は変わらない。

「それが大人になることだ」とは私は思いたくありません。

彼は母校の送別会では公を明確に理解していました。

彼はまだ学生です。
教育の現場で学んでいる人間です。
オリンピックで活躍できる希望と夢をふんだんにもっている、
これからの人間です。
「ここは公と考えよ、ズボンをあげ、タックインして、タイをしめなさい」
と言えば済むことです。
誰もそれを言わずに、気がつけば
謝罪せよとカメラの前に引きずり出された。

今回の団長橋本聖子さんは立派だったと思います。
彼女が全責任を負い国母君を競技に出場させる決断をしました。
橋本さんは素晴らしい教育者であると思います。

国母君、これからも自分にチャレンジしてください。
そして、自分と戦ってください。
解答は君自身が持っています。
笑顔で、ぶれずに自分の人生を
切り拓いてください。

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