グローバルキャリア塾 連載コラム

次世代教育 (第2回)

第2回:覚える教育から考え発表する教育へ

株式会社E-Concierge
代表取締役

斉藤 克明 (さいとう かつあき)

11981年より一貫して海外の初等・中等教育コンサルティングに携わる。1999年、中学・高校留学ガイドを出版。 2001年、日本人初のアメリカに本部を置くIECA(教育コンサルタント協会)のメンバーとなる。E-Concierge代表取締役、海外留学協議会副理事長。

株式会社E-Concierge

(2009年9月1日掲載)

日本の子供たちが英語圏へ留学して最も困るのが、生活面でも勉強面でもその都度意見を求められることではないかと思います。

子供のみならず、成人でもレストランなどでサラダドレッシングを5種類以上の中から選んだり、サンドイッチやハンバーガーに入れる具をいちいち聞かれたりすることに、大いに戸惑った経験を持つ人は多いと思います。

与えられた知識を正確に暗記し再生するトレーニングを小さい時から訓練されている日本の子供たちは、海外に行き「あなたはどう思いますか」という問いに答えられないことが多いわけです。10代で留学した子供たちは通常のクラスで自分の意見を発表する、意思表示をするという今までにあまり経験したことのない異文化の壁に正面衝突して、悩み葛藤します。

律義で従順であることを教育されている日本の子供たちは、今日の授業での失敗を明日には取り返そうと、必死に勉強し、準備するのですが、今度は英語という言語の壁が待ちうけている。予習などとても手が回らない。ある生徒が先生に、「私は授業について行くために5時間は勉強しなければなりません」と言ったところ、「2時間で十分だよ」と先生に言われ、「どうして2時間で十分なのですか、その理由を教えてください」と自分の意見を言えなくて悔しいと言った生徒がいました。結局、その生徒は2時間で十分な理由は追及しなかったようです。いつの間にかその生徒の脳裏から消えてしまったのでしょう。勉強するということは覚えることという観念がその生徒を支配していたのでしょう。その生徒が自主的に意見を言えるようになったのは、留学2年目に入ってからだったそうです。

私の友人でアメリカにある帰国子女を中心とした学校で数学を教えておられる方がいます。日本の高校で長年教鞭を取った経験のあるその方は、帰国子女の特徴として意思表示が明確なことをあげます。授業がとってもライブで生徒たちは即反応するのだそうです。解らないところは、解らないと彼らははっきり言うのだそうです。帰国子女たちは解らない問題をそのままにしておかない傾向が強いのだそうです。すると、日本から来た留学生たちも徐々にその環境を学ぶのだそうです。そして、1年も経つ頃には留学生たちも明確に意思表示をするようになると言われます。

アメリカのみならず英語圏の学校を訪問し、先生方と話をしていて感じるのは、意見を生徒たちに求めることが徹底していることです。小さい時から子供たちはそのように教育されます。You are special、make a differenceといった考え方が徹底し、その折り合いをつけるためにディスカッションという方法が取られるというわけです。個性や特性を尊重するということは、そのための自己責任も問われなければなりません。また、それを取りまとめるリーダーという役割も相当の技術や精神が大切になってくるでしょう。故にそのような勉強なり、学問の方法論が発達しているのだと思います。

10代の留学というのは、その先の大学や社会人となるための一つの選択肢です。世界の中で活躍するためには、コミュニケーションの道具として英語が必要ではありますが、その道具を有効に活用するための精神を養うためにも10代のうちに異文化の中で苦労をしてもらいたい。私はそのように思っています。

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