次世代教育 (第21回)
第21回:ニュージーランドの国民性
株式会社E-Concierge
代表取締役
斉藤 克明 (さいとう かつあき)
11981年より一貫して海外の初等・中等教育コンサルティングに携わる。1999年、中学・高校留学ガイドを出版。 2001年、日本人初のアメリカに本部を置くIECA(教育コンサルタント協会)のメンバーとなる。E-Concierge代表取締役、海外留学協議会副理事長。
(2011年6月1日掲載)
ニュージーランドはイギリスからの移民によって作られた国です。歴史的に見るとつい最近、1970年代まではイギリスの属国であるかのように文化的、経済的な両国の絆は強かったように思われます。簡単に言えば、ひつじを中心として家畜を育て、イギリスであるいはイギリスのネットワークでさばいて成り立っていた国であったと思います。80年代になり、この仕組みをイギリスが支えきれなくなり、ニュージーランドはオーストラリア、アメリカ、日本などに積極的に自国の製品を売り込み、イギリスから経済的自立をしてゆきます。
ニュージーランドという国は、アメリカと違って先住民族、マオリ族との激しい戦闘の歴史や居住地を勝手に指定するなどの政策は取っていません。現在でも、ほとんどの高校でマオリ語、マオリ文化のクラスがあり、彼らの文化を保存する活動も盛んに行なわれています。ニュージーランドが世界に誇るラグビーチーム、オールブラックスの試合前の踊りはマオリ族のハカと呼ばれる戦士の士気を鼓舞する踊りです。先住民族との共存はこの国では当たり前のこととして捉えられています。
北海道を除く日本の面積に400万人という人口のニュージーランドですが、国内マーケット規模が大変小さいことと、本来農業国であることから、日本や韓国のように自国製の車、電化製品などの分野で世界マーケットに食い込むような経済力は持っていません。
農業国からスタートしたこの国の国民性に私は日本との共通点をいくつか見出します。まず、人々が穏やかです。アメリカと違って、世界一という過剰な自負はなく、こちらの話を良く聞いてくれます。
留学生を受け入れるホストファミリーもおおよそおおらかな性格の人が多く、北米の国々に比べて、ホストを変える率はかなり低いのではないかと思います。ニュージーランドには日本のような東大を頂点とした偏差値による大学評価や受験戦争はないと言ってよいと思います。おおよそ彼らは「自分の生き方」に合わせて、大学への進学を決めますし、8校の大学以外のポリテックと呼ばれる専門学校でまず学び、それから大学へと進む学生もたくさんいます。
オークランドが国内唯一の100万人都市で、それに続く南島のクライストチャーチは37万人ほどのニュージーランドには、日本やアメリカのような郊外型ショッピングセンターが少ないと思います。小規模の街々では、まだ個人商店が生きていて、人々の生活も質素であると思います。
英語圏の国々の中では、目立たないニュージーランドですが、彼らの暮らしぶりを見ていると「足るを知る」ということを、日本よりも実践している国民性であると私は思います。
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